
2016年1月に家電見本市として知られる「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー )」がアメリカ、ラスベガスでから開幕されました。今回は特に自動車メーカーの出店が目立ちます。いよいよIotの足音が自動車業界にも聞こえてきたという感じがします。
話題となっているIotとは物体(モノ)に通信機能を持たせることにより、相互に自動認識や自動制御を可能とすることを言います。つまり、インターネットを介して車の自動制御を可能とすることにより、自動運転ができるようになるということです。
では、Iotは中古車業界にどういう影響を及ぼすのでしょうか?本日は中古車業界に15年所属した筆者がIotによる中古車業界への影響について解説いたします。
大手自動車メーカーの動き
CES(家電見本市)の開幕に先立ち、米3大メーカーの1角のフォードやトヨタが会見を開き、「脱ハード依存」戦略を打ち出したました。これはまぎれもなく、完成車を売るだけの商売は終焉を迎えるということに他なりません。フォードはタクシーやカーシェアリングなど交通サービスへの参入意欲を示しました。
トヨタも単に車を作る会社ではなく、車を手段とした様々なサービスを展開する会社になろうとしています。自動運転車をもってタクシー業界に参入するかもしれません。
英バークレイズによると自動運転とカーシェアサービスが普及すると車の需要がおよそ40%減少するという見方を示しています。そうなると、中古車業界はどのようになるのでしょうか?
Iotが中古車業界に及ぼす影響
Iotにより自動車の自動運転が普及すると車の需要が減るので、当然ながら販売台数が減少します。無人タクシーや乗り合い仲介が増えることにより、自動車の流通台数も減少します。そうなると、中古車の市場相場は下落し、おのずと買取金額も下落すると思われます。
一部のマニアックな車や高額輸入車などは相場を維持するでしょうが、一般的な大衆車は売れにくくなりますので、中古車業者の淘汰が一層進むでしょう。資金力のある大手は家電大手などと組み、既存顧客に対し、新しいサービスを提供していくでしょう。
そうすると一層苦しくなっていくのは買取専門業者です。出口(売り先)が狭まるため、高価買取が難しくなります。そんな中でも競争の激しさは変わりません。
車を売るユーザーとしてはどうでしょうか?。市場価格が落ち込むことから、高く売るのは難しくなります。中古車業者の淘汰が進むとはいえ、業者の数は多く競争の激しさは変わらないでしょう。強引買い方をする業者が今以上に増加するかもしれません。
高く売るためには、適切な売り先と売り方をしっかりと見極める知見が必要となると思われます。
最後に
自動車業界はIotによる自動運転技術の確立により、今後10年で現在と全く様変わりするとも言われています。中古車業界自体がほぼ無くなるかもしれません。業者は力を持っているところが生き残れるのではなく、変化に対応したところが生き残るでしょう。ユーザーとしても自動車業界の変化を踏まえ、時流にあった行動をすることが求められていくと思います。