BYDラッコの受注状況は?2週間で1000台も売れ行きに陰り

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BYDの新型軽EV「RACCO(ラッコ)」が2026年7月28日に発売され、発売2週間で累計受注1,000台を突破しました。

BYDの日本導入モデルとしては最速ペースです。筆者が実際に実車を見た所感としては、日本向けのデザインにしてきていることに加え、使い勝手についても良さそうという印象です。

ただし、売れ行きが好調なのは発売直後だけという見方もあります。お盆以降は来店が減り、成約率の低さに悩む販売店もあるようです。

つまり、売れ行きは数字だけでは判断できない状況にあります。国産メーカーもライバル車を打ち出してきており、先行きは不透明です。

本日は、ラッコの受注状況と売れ行きの実態を最新データで整理したうえで、実車を見た所感とライバル車との比較を、中古車業界に15年所属した筆者がみていきます。




受注状況は2週間で1,002台、BYD最速ペース

ラッコは、発売開始から2週間弱で受注1,000台を突破し、幸先良いスタートを切りました。

◆ラッコの受注状況の表

時点 累計受注 備考
2026年7月28日 — 発表・発売
8月2日時点 741台 発売から約8日間
8月9日時点 1,002台 発売2週間で1,000台突破

出典:BYD JAPAN プレスリリース(2026年8月10日)

BYDは「12月末までに1万台」という目標を掲げており、2週間で1,000台ということは、年間1万台のちょうど10%を最初の2週間で達成した計算になります。

ラッコは、発売前の予約受注をほとんど行っていないこと、先代モデルからの乗り替え需要が存在しないことなどを考えると、滑り出しは好調と言えます。

 

受注の8割は最上位300Premium|200はわずか6%

BYDが初期購入客へのアンケートをもとに公表した販売比率は下記のとおりです。

グレード 価格 受注比率
RACCO 300Premium 249万7,000円 80.0%
RACCO 300Plus 239万8,000円 14.0%
RACCO 200 214万5,000円 6.0%

出典:BYD JAPAN「【速報】BYD、新型軽EV『RACCO』発売2週間で累計受注1,000台突破」(2026年8月10日)

BYDは発売時、エントリーの200について「国の補助金15万円を引けば実質199万5,000円」という点を強く打ち出していました。ギリギリ100万円台に載せてきた価格設定です。

ところが、実際に選ばれているのは6.0%だけでした。

訴求と購買行動が逆になっています。理由は主に下記2つです。

ひとつは装備の差です。300Premiumは300Plusの装備に、アラウンドビューモニター、運転席の電動調節、カップホルダーの保温機能などが加わって約15万円差。装備の内容を考えれば割高感がありません。

もうひとつは航続距離です。200は約210km、300系は約320km。100km以上の差があります。EVを初めて買う人ほど、航続距離の余裕を求めます。

結果として、「せっかく買うなら上のグレード」という判断に集中したということです。

200を検討している方は、下取りを含めた実質負担で300Plus以上と比較してみてください。差額が思ったより小さい可能性があります。

 

購入者の37.5%は「増車」

同じアンケートで公表された購入形態の内訳です。

購入形態 比率
増車 37.5%
入替 35.7%
新規 26.8%

出典:BYD JAPAN「【速報】BYD、新型軽EV『RACCO』発売2週間で累計受注1,000台突破」(2026年8月10日)

最も多いのが「増車」、つまり2台目としての購入です。

自宅のEV用充電設備についても、同じアンケートで公表されています。

自宅の充電設備 比率
ある 55.4%
ない 43.0%
無回答 1.6%

出典:BYD JAPAN「【速報】BYD、新型軽EV『RACCO』発売2週間で累計受注1,000台突破」(2026年8月10日)

この2つのデータは、ラッコの現実的な使われ方を示しています。

増車が最多ということは、「長距離はガソリン車、近所はラッコ」という住み分けを前提に買われているということです。実用航続距離が150〜230km程度でも問題にならない使い方です。

一方で、充電設備がない人が43%もいます。

外部の充電スポットに頼ることになっても問題ない人がかなりいるということです。近所の足として使うのであれば、ラッコの航続距離で問題ないと判断している人が多いです。

 

お盆以降は失速の兆し|販売現場の反響

ここまでは好調な数字を見てきましたが、販売現場の話は少し違います。

自動車評論家の国沢光宏氏が、2026年8月17日にBYDのディーラーを取材した内容が下記です。

受付カウンターに座っていた人に「どのくらい売れましたか?」と聞いたら、BYDの中でも大きい店舗ながら、成約は7台とのこと。もっと売れているかと思った。(中略)発表日の翌日から10日間くらいはラッコ目当てのお客さんがたくさん来たものの、お盆休み前にはガックリ減ったという。

出典:くるまのニュース(2026年8月20日/国沢光宏)

期待外れだったのは成約率の低さだそうです。試乗希望者は多く、見積書もたくさん作ったものの、「いいですね」と帰ってそれっきりというケースが大半とのことでした。

これは中古車業界でもよく見る光景です。商品そのものは評価されているのに、最後の決断ができないというパターンです。

ラッコの場合、引っかかっているのは中国メーカーというイメージだと考えられます。車の出来ではありません。

この壁は、実際に街で走っている姿を見かけるようになると下がっていきます。納車が本格化する秋以降、口コミが広がれば売れ行きが伸びる可能性は十分にあります。

現時点の売れ行きは、「商品力の評価」ではなく「ブランドへの警戒感」を映しているとも見れます。

年間を通して安定した販売実績が出てくれば、BYDへのイメージも変わり、シェアの拡大につながりそうです。

 

納期は約3ヶ月に延びている

発売直後は「約1ヶ月で納車」という好条件でしたが、2026年8月時点の納期は約3ヶ月とのことです。

それでも、国産の人気車が半年待ちも珍しくない状況を考えれば、まだ短いほうです。

ただし補助金には申請期限や予算枠があります。年内の納車を希望するのであれば、9月中には商談を進めておいたほうが安全です。

 

価格とグレード構成「200/300Plus/300Premium」

グレード構成は下記の3つです。

グレード 価格 航続距離 主な特徴
200 214万5,000円 約210km エントリーグレード
300Plus 239万8,000円 約320km バッテリー増量の中間グレード
300Premium 249万7,000円 約320km アラウンドビューモニター、運転席パワーシート等

最上位の300Premiumには、アラウンドビューモニターやハンズフリー電動スライドドア(足先をかざすだけで開閉)が付きます。小さな子供を抱えたまま乗り降りするファミリー層に刺さる装備です。

前述のとおり、受注の8割がこのグレードです。

 

補助金は最大85万円|太陽光導入で上乗せ

国のCEV補助金は、国産蓄電池の採用などを評価する制度のため、日産・ホンダの58万円に対しラッコは15万円にとどまります。

一方、東京都の補助金には加算があります。

区分 金額
国のCEV補助金 15万円
東京都(ベース30万+メーカー上乗せ10万) 40万円
太陽光発電を導入済みの場合 +30万円
最大合計 85万円

300Premium(249万7,000円)に85万円を適用すると、実質164万円です。

太陽光を導入していない場合でも、国15万円+都40万円=55万円で実質約195万円となります。

日産サクラとの比較は下記のとおりです。

車種 国の補助金 東京都補助金 合計
BYDラッコ 15万円 40万円 55万円
日産サクラ 58万円 60万円 118万円

補助金の差は63万円。車両価格ではラッコが安いものの、この差は埋めきれません。

 

「ラッコ楽」3つの購入支援策

BYDはラッコ専用の支援策を用意しています。

ラッコ楽① 電池容量の保証を10年/20万kmまで延長

一般車両保証に加えて、バッテリーおよび高電圧部品の保証が付きます。

さらに有償保証を付ければ、電池容量の保証期間を10年/20万kmまで延長できます。

EVで最も心配されるのがバッテリーの劣化ですから、ここを長期で保証するのは大きな安心材料です。

ラッコ楽② 据置型ローンで月々19,300円から

ジャックス提供の据置型ローン「RACCO 楽っとプラン」を利用すると、月々19,300円からとなります。

条件は、RACCO 200・頭金0円・ボーナス払い0円・5年50%・CEV補助金15万円を60回に分割して控除した場合です。なお、ローン金利は2.9%とディーラーや中古車販売店よりも良心的です。

残価は支払期間終了後の価値を保証するものではありません。5年後に残価を精算する必要があるため、乗り続ける予定であれば通常ローンと比較してください。

ラッコ楽③ 世界初のSDV・OTA更新

ラッコはSDV(Software Defined Vehicle)として設計されており、OTA(Over The Air)で常に最新のソフトウェアに更新されます。

購入後も機能が追加されていくという考え方です。

 

実車を見てきたRACCO(ラッコ)の所感

運転席|2枚のモニターは見やすい

運転席に座って最初に目に入るのが2枚のディスプレイです。センターの10.1インチ大型ディスプレイとデジタルメーターが並ぶ構成となっています。

2枚それぞれの視認性が高く、「情報が多いのに散らかった印象がない」という感覚でした。

シートは軽いグレー×ベージュのカラーリングで、軽自動車にありがちな安っぽさがなく、見た目の質感は良好でした。

後席・ラゲッジ|広さと使い勝手

後席シートを倒すと非常に広いフラットスペースが広がり、折りたたみ自転車がそのまま積める設計になっています。

「人が座る」「荷物を置く」「自転車を積む」の用途切り替えが短い手順でできる設計は、軽自動車としては突出した使い勝手の良さです。

前席の背面にある「シートバックテーブル」を出すと、ドリンクや小物を置いたり、ちょっとしたリモートワークも可能です。

 

実用航続距離は「200」だと物足りないか

グレード バッテリー カタログ航続距離 実用航続距離(目安)
200 20kWh 200km超 約150km
300系 30kWh 300km超 約230km

実用航続距離は7.5km/kWhで計算した目安です。エアコン使用や高速走行ではさらに短くなります。

受注の8割が300系に集中しているのは、この差を購入者が重視しているということでもあります。

なおバッテリーはLFP(リン酸鉄リチウム)ブレードバッテリーを採用しており、長寿命設計である点は大きなメリットです。日産サクラのNMC系と比べて発火リスクが低い点も安心材料です。

「電池が床下に飛び出していて危険」という話が出回っていますが、実車の床下はツライチで、電池ケースはラリー車のアンダーガードに近い強度があると報告されています。過度に心配する必要はありません。

 

ラッコがサクラより上回っている点

項目 BYDラッコ 日産サクラ
スライドドア 両側電動スライドドア標準 ヒンジドア
ボディタイプ スーパートール(全高1,800mm) ハイト(全高1,655mm)
航続距離 210〜320km 180km
ディスプレイ 大型+デジタルメーター2画面 9インチディスプレイ
バッテリー LFP(長寿命・発火リスク低) NMC系
後席多用途設計 ◎(自転車積載・短手順切替) △(標準的)
補助金(東京都) 55万円 118万円

装備と設計では明確にラッコが上回っており、不利な点は補助金という図式になっています。

 

ラッコをおすすめできる方・慎重に検討すべき方

向いている方

  • 2台目・近所の足として使う方(購入者の37.5%が増車です)
  • 室内の広さ・後席の使い勝手を最優先する方
  • 自転車・アウトドア用品を積む機会が多い方
  • バッテリーの長寿命・安全性を重視する方
  • 太陽光発電を導入済みの都内在住の方(補助金85万円)

慎重に検討すべき方

  • 自宅に充電設備を設置できない方(購入者の43%が未設置ですが、運用の負担は大きくなります)
  • 長距離ドライブが多い方
  • 国産メーカーのアフターサービスに安心感を求める方
  • BYD販売店が近くにない方(2026年8月時点で77拠点・全国カバー率約90%)

 

販売店はヤナセなど輸入車の老舗も参入

BYDの販売網は2026年8月時点で77拠点、全国カバー率は約90%に達しています。

輸入車販売の老舗「ヤナセ」も「BYD横浜南」を運営するなど参画してきています。

メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンを長年扱ってきたヤナセの参入は、「中国メーカーは売りっぱなしでアフターが不安」というイメージを覆す材料です。

実際に店舗を訪れると、接客は輸入車ディーラーそのものでした。商談席ではコーヒーが提供され、押しつけのない丁寧な対応です。

「軽自動車を買いに行く」というより「輸入車ディーラーで商談する」感覚に近く、BYDがイメージ戦略に本気であることが伝わってきます。

 

よくある質問(FAQ)

BYDラッコの売れ行きはどうですか?

2026年7月28日の発売から2週間で累計受注1,002台を突破しました。BYDの日本導入モデルとしては最速ペースです。ただしお盆以降は来店が減っており、成約率の低さを指摘する販売店の声もあります。目標は「12月末までに1万台」です。

どのグレードが売れていますか?

最上位の300Premium(249万7,000円)が80.0%を占めます。300Plusが14.0%、エントリーの200はわずか6.0%です。装備差が約15万円と小さく、航続距離も100km以上違うことが理由と考えられます。

納期はどのくらいですか?

2026年8月時点で約3ヶ月です。発売直後は約1ヶ月でしたが延びています。補助金には申請期限や予算枠があるため、年内納車を希望するなら9月中に商談を進めておくほうが安全です。

補助金はいくらもらえますか?

国のCEV補助金が15万円、東京都は40万円で合計55万円。太陽光発電を導入済みならさらに30万円が上乗せされ、最大85万円になります。日産サクラ(合計118万円)には及びませんが、太陽光加算を使えれば差は縮まります。

自宅に充電設備がなくても買えますか?

購入者の43.0%は自宅に充電設備がありません。ただし外部の充電スポットに頼る運用は負担が大きいです。集合住宅にお住まいの場合は、契約前に設置の可否を必ず確認してください。

バッテリーの寿命が心配です

LFP(リン酸鉄リチウム)ブレードバッテリーを採用しており、長寿命設計です。さらに有償保証を付ければ電池容量の保証を10年/20万kmまで延長できます。

 

最後に

BYDは日本市場に参入してから、ATTO3・ドルフィン・SEAL(シール)・SEALION7(シーライオン7)・SEALION6(シーライオン6)と次々に新型車を出していますが、売れ行きはそこまで伸びていません。

さらなる攻勢を強めようと、日本の軽自動車市場という世界でも特殊な市場に参入をするということで、並々ならぬ決意が感じられます。

ラッコに限らず、新型EVへの乗り換えを検討しえおり、今乗っている車を売却する場合は、BYDの各ディーラーで買取(下取り)もできますが、少しでも高く売るには複数の買取店を比較したほうが良いです。

近年では高く買い取る確率が高いのは「ネクステージ」です。ネクステージの買取は絶好調で、下記グラフのようにガリバーの買取台数を大きく上回り国内ナンバー1です。

◆ガリバーとネクステージの年間買取台数推移グラフ

年式が新しいとか、走行距離が少ないという再販向きの車は特に高く買い取ります。

一方、販売店向きでない低年式や走行距離が多い車は積極的に値段を提示してこないため、その場合は「ユーポス」や「ラビット」を含めて比較したほうが良いです。

複数買取店に査定依頼する際は、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると、簡単に絞り込んで依頼することができます。

カーセンサーネット公式サイト

ネクステージ1社に査定依頼をしたいという場合は、下記公式サイトより依頼可能です。

フルスイング買取「ネクステージ公式サイト」

 

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