カーシェアリング市場の拡大が継続しています。ボストンコンサルティンググループによると、5年後の世界新車販売台数は7800万台と微増ですが、カーシェアリングの利用者は3500万人と2015年の6倍に増えるとのことです。国内でもタイムズカープラスやカレコ、オリックスカーシェアなどの大手業者のステーションが急速に増えています。
このようなカーシェリング市場の拡大は継続するのでしょうか。また、国内の中古車業界に与える影響はどのようなものなのでしょうか。本日は、拡大を継続するカーシェアリングについて解説するとともに中古車業界への影響を考えていきます。
カーシェアリングは街中の車の乗り入れが規制されている欧州で急速に普及してきましたが、国内でも年々需要が高まっています。カーシェアリングの需要が高まってきた理由としては大きく3つあります。
① 高額な車の維持費を払わなくてよい
普通車の維持には税金や保険、駐車場代、車検だけで年間30万程度の維持費が掛かります。他方、カーシェアリングは30分400円程度で利用した分だけ払うという安価な料金体系が人気です。
⓶ 若者のクルマ離れが著しい
日本自動車工業会の調べによると、車を持っていない10代、20代の若者のうち、車の購入意志無しという人が全体の60%を占めるとのことです。車に愛着を持つより、単なるアシと捉える若者が多く、高い固定費を払うより乗りたい時にレンタカー感覚で利用できればよいという考えのようです。
③ スマホで簡単に予約、決済ができる
スマホの普及により、車に搭載されているシステムといつでも連携し、予約や決済が簡単にできるという利便性に人気が高まっています。レンタカーと異なり、車の開錠や施錠もスマホのみで行うことができ、煩わしい貸し出し対応がないことも魅力のひとつです。
カーシェアリングの普及による中古車業界への影響は?
現状の勢いでカーシェアリングの市場が拡大すると、5年後には約100万台の新車販売台数が減少するとの予測がされています。新車が売れないと、中古車のタマ数も減少します。そうなると、中古車市場での流通台数も減少し、価格も下落すると予想されます。一部の特殊な車や高額輸入車は価格を維持すると思いますが、普通の車種は売れにくくなるでしょう。また、売値が下がることで、買取価格も下がることが予想されます。
多様化するカーシェアリングサービス
需要の高まりを受けて、カーシェアリング業者のサービスも多様化してきています。従来はコンパクトーが主流でしたが、最近は様々な車種に対応しています。大手のカレコではベンツを新たに100台仕入れるなど、輸入車の貸し出しに力を入れています。ベンツのハイパフォーマンスモデルAMG A45(新車価格720万)を15分240円で利用することもできます。
欧州では定着している「乗り捨て」サービスも今後普及してくると思われます。大手のカーシェアリング業者は多数の駐車場を保有しており、どこの駐車場でも乗り捨てができるようになると、更に利用者数は増加すると思われます。
最後に
カーシェアリング市場は今後も拡大が予想されています。自動運転の技術が進むにつれて、カーシェリングサービスの多様化も更に進むと思われます。自動車メーカーも車の販売台数だけを競うのではなく、新たなサービスでの収益を見込むべくスタンスを変えてきています。メーカーも巻き込んだサービスの多様化の中で、カーシェアリングサービスの進化に期待が高まります。