電気自動車として注目される日産リーフの実際の航続可能距離はどのくらいなのでしょうか?初期型(平成23年式)を利用してみた感想としては、充電池の経年劣化が著しくカタログ値の半分も走れないため、近場での利用にしか向かないという印象です。
リーフが発売されてから約5年が経過し、中古のリーフも数多く出回っています。リーフから乗り換えるユーザーも多く、その際の買取価格はどのくらいなのでしょうか。充電池の劣化の影響も気になるところです。
本日は、日産リーフを利用し、実際の航続可能距離や充電スポットの使い勝手を解説するとともに、買取価格への影響をみていきたいと思います。
リーフの実際の航続可能距離を計測
今回は、平成23年式走行距離50,000キロの初期型リーフで航続可能距離を調査しました。まず驚いたのが100%充電状態でも航続可能距離表示が100キロ前後ということです。日産の店舗においてある急速充電設備では充電完了しても70キロ台でした。新車登録時より5年経過50,000キロでは電池の劣化が相当に進んでいるようです。
次に航続可能距離表示と実際の走行可能距離を確認した結果が下記表になります。
走行前 | 走行後 | 差し引き | |
航続可能距離表示 | 72km | 39km | 33km |
実走行メーター | 50714km | 50737km | 23km |
※一般道 休日昼間走行 エアコンoff状態
結論としては、航続可能距離表示の約7割程度しか走れないということになります。カタログ値ではフル充電で228キロ走行可能ということでしたが、実際に利用したリーフではフル充電でも約70キロ程度と半分の距離も走れませんでした。
冬場の走行ということもありますが、遠出は厳しいと思われます。今回はエアコンを使用しておらず、エアコンを使用すると更に航続可能距離は短くなります。
意外と不便、街中の充電設備
電気自動車の充電設備は近年急速に普及してきました。日産の店舗や高速道路のサービスエリア、ショッピングセンターなど様々な場所で充電が可能です。ただし、実際に利用してみると意外と不便という印象でした。
日産の店舗や高速道路では急速充電設備があるものの、だいたい1台しか設置しておらず、他のユーザーが利用していると利用できません。また、急速充電には30分間を要するためその間は時間を潰さなければなりません。
ショッピングセンターの充電設備は複数台あるため利用はしやすいですが、200V充電設備のため満タンにするには5~6時間を要します。筆者も実際に利用しましたが1時間充電で航続可能距離が約25キロしか増えませんでした。
充電設備ビジター利用はガソリン車と走行単価がほぼ変わらず
充電設備の利用形態は「会員」と「ビジター」があります。今回はビジターで利用してみました。「ビジター」では日産の店舗での急速充電利用料は1回540円(税込)ほとんどのショッピングセンターでの普通充電設備利用料は1時間あたり126円(税込)です。
今回利用した車両での1キロ走行あたり急速充電費用単価と普通充電設備費用単価は下記表になります。
費用(税込) | 走行可能距離(メーター7割) | 1kmあたり単価 | |
急速充電(日産店舗) | 540円 | 50km | 10.8円 |
通常充電 | 126円 | 18km | 7.0円 |
一般のガソリン車ではリッター10km走行とすると、1kmあたり単価は約12円(1リッター120円換算)ですから、ビジターの利用ではガソリン車より若干良い程度で大差ないです。
もっとも、「会員」の利用料は「ビジター」より安価であり、また定額形態もあるため利用頻度が高いユーザーはより割安となります。
充電池劣化の買取価格への影響は
以上のように初期型のリーフでは充電池の劣化が著しく、不便な点があります。その点がリーフの相場にも影響しています。初期型のリーフの買取価格相場、販売価格相場は下記表のとおりであり、同年式のプリウスに比べて半額程度と安価となっています。
23年式リーフX | 23年式プリウスG | |
買取価格相場 | 30~40万円 | 70~80万円 |
販売価格相場 | 65~75万円 | 100~110万円 |
新車価格 | 358万円 | 233万円 |
※ナビクル、カーセンサーネット調べ 走行距離5万キロ 標準色想定
リーフは年数が経過するにつれて、充電池の劣化が進むとさらに相場が下落すると思われます。
最後に
いかがでしょうか。ガソリンを必要とせず環境にも優しいリーフですが、充電池の経年劣化が著しく航続可能距離が徐々に短くなってきます。充電池の更なる改良が必要と思われます。また、日産店舗等での急速充電についても最速で30分という時間を更に短縮しないと、大きな普及は見込めないと感じます。
次世代の車として注目を集める電気自動車ですが、本格的な普及にはまだ時間がかかりそうです。国内では日産と三菱が先行している感がありますが、他メーカーも巻き込んだ競争により技術革新が進むことを期待します。