
ビッグモーターから事業を引き継ぎ、2024年5月に新会社として設立された「ウィーカーズ」(WECARS)は、設立から約1年が経過し、徐々に客足も戻ってきているとのことです。直近での年間買取台数は12.8万台程度と推定され、業界トップのネクステージ、第2位のガリバーに次ぐ、業界第3位規模となっています。
ウィーカーズは旧ビッグモーター時代の反省を活かし、お客様第一主義として、車買取を行っており、下記3つを買取時の強みとしています。
強み② 契約後の査定価格の減額なし
強み③ 引き渡し日翌日までキャンセル可能
また、ウィーカーズは「他店より1円でも安ければご相談ください」と、家電量販店のような宣伝文句で、高値買取をうたっています。高値買取を実現する手法としては、ビッグモーター時代と同様に、自社の大型展示場で直接販売を行うことでのマージンカットによるものです。
本日は、ウィーカーズがかかげる車買取における3つの強みを中心にみていきます。
ウィーカーズでは、旧ビッグモーターの不正事件からの信頼回復を早期に実現するため、ユーザーにとって安心な取引を心がけており、その中で下記3つを強みとしています。
強み① 査定日から7日間の価格保証
昔から中古車査定時には、買取店が即時契約を取りたいために、「今ならこの査定額です!」と言って、査定額は保証しないというのが普通であり、現在でも大きく変わっていません。
査定額を保証しない買取店側の言い分としては、中古車の在庫状況や相場は日々変動するものであり、査定額はその時々で変わるものということがあります。ただ、現実的には中古車相場が数日で大きく変わるということはなく、買取店がより多く契約を取るための営業文句となっています。
そのような中、ウィーカーズでは「査定日から7日間の価格保証」をすることで、クリーンさを打ち出しています。
中古車業界では、他社の踏み台にされることを嫌がり、査定価格をはっきり伝える会社は少ないため、このように査定額がはっきり提示されて一定期間保証されることは、ユーザーへのわかりやすさにつながります。
強み② 契約後の査定価格の減額なし
中古車業界では、買取契約後の査定価格の減額をめぐってトラブルになることが今でもあります。
よくあるケースとしては、買取契約時は無事故車として契約したが、実は事故車であったということが後からわかり、査定価格の減額を買取店から要求されるというものです。
これは、査定時に車が事故車であることを見抜けなかった買取店のミスでもあるのですが、大手買取店の契約書では査定時にわからなかった問題(事故車ということ)は売り手の責任と記載されているため、査定価格の減額を要求できるというものです。
売り手にとっては納得のいかないものですが、中古車買取業界では長く慣習となっています。
ウィーカーズではそのような減額をしないと公言しており、ユーザーへ安心感を与えています。
強み③ 引き渡し日翌日までキャンセル可能
ウィーカーズでは買取契約後に車を引き渡した翌日まで無料キャンセルを可能としています。
これは、「やっぱり気が変わった」とか「急に転勤になった」などのユーザー都合に無料で応じるというものです。
中古車の買取はクーリングオフの適用とならず、買取店側がキャンセルに無料で応じる義務はありませんが、ユーザーの満足度向上の一環として、このような取り組みを行っています。
ただし、車の引き渡し時に輸送費などの実費が発生している場合は、その分の費用を請求されますので注意が必要です。
他店より1円でも安ければ相談可
ウィーカーズのサイト上では「他店より1円でも安ければご相談ください!」と宣伝されています。
中古車買取は買取金額が明確に決まっているものではないため、他社が同じような金額であれば、少し上乗せして買取しますよ、ということを言っています。ただ、これはどこの買取店でも同じことを言っており、必ずしも上乗せできるというものではありません。
ウィーカーズは、ビッグモーター時代と同様に、自社の大型販売店での直接販売による中間マージンカットを理由に高値買取をうたっています。
ただし、相場より高く買い取りができるものは、自社で再販が可能な、「高年式」や「走行距離が少ない」、「内外装の状態が良い」という車に限られ、その条件に外れるものは、相場より高くは買えません。
自社で再販が難しい車は、オートオークションでの売却となり、そのような場合は、オートオークションでの売却に強い「ユーポス」や「ラビット」のほうが高値を提示する確率が高いです。
一方で、「高年式」や「走行距離が少ない」、「内外装の状態が良い」という販売店での再販向きな車は、同じく大型販売店を持つ「ネクステージ」や「ガリバー」が強いため、比較することをおすすめします。
買取店を比較する際は、下記カーセンサーネットを利用すると、簡単に大手買取店に査定依頼ができます。査定料や成約料は無料です。
ウィーカーズの買取台数は業界第3位規模
ウィーカーズは買取台数実績を明確に公表していませんが、現在ではビッグモーター時代終盤の買取台数(約16万台)の約8割程度に戻ってきているということを踏まえると、年間買取台数は12.8万台程度と推定されます。
ウィーカーズを含めた国内大手買取店3社の年間買取台数は下記のとおりで、トップのネクステージと比較してウィーカーズは約半数の買取台数で、業界第3位規模となっています。
◆買取大手3社の年間買取台数比較表
※ネクステージは2024年11月期決算、ガリバーは2025年2月期決算より ウィーカーズは旧ビッグモーターにおける2022年実績約16万台の8割程度と推定(2024年5月1日日刊自動車新聞より)
ビッグモーター時代は買取台数日本一を称していましたが、不正事件以来買取台数を大きく下げています。直近では、買取台数を伸ばしてきているということで、ユーザーの信頼度が回復すればネクステージとガリバーの規模に近づきそうです。
ウィーカーズの店舗数は国内245店舗
ウィーカーズの店舗数は2025年4月現在で245店舗となっており、ビッグモーター時代より若干数は減っていますが、国内のほぼ全域(島根県以外)をカバーしています。
ビッグモーターからウィーカーズへの看板の掛け替えも終了し、ウィーカーズとしての新規出店も「ウィーカーズ山形」をはじまりに進んでいます。
ウィーカーズは今後も新規出店を進めていくということで、各販売店での販売が順調に進むと、仕入れ(買取)も必要になることから、買取台数の増加にもつながりそうです。
ビッグモーター時代の反省を活かして再建を急ぐウィーカーズ
ビッグモーター時代は利益を求めるあまりに、強引な買取や相場より安く買い取って利益を確保するという取引があったということですが、ウィーカーズとなって以降、極端なインセンティブ制度をやめるなど、社内改革を進めています。
実際、ユーザーからは旧ビッグモーターという不安はあるものの、そのような反省すべき過去があるため、今はその分も含めてしっかりとやってくれそう、という期待もされています。
中古車の価格は日々の状況にも左右され、ウィーカーズが常に高いということはありませんが、過去の反省を踏まえて安心した取引に努めているということで、価格はもとより安心して車を売却したいという方は、検討先のひとつに加えて良いかと思います。