中国EVメーカー「BYD」が新しく販売開始した新型プラグインハイブリッドSUV「シーライオン6(SEALION 6)」
は、航続可能距離約1,200キロ(カタログ値)や充実装備、先進安全装置(ADAS)などを備えながら398万円という競合に比べて破格の価格設定となっています。
この価格は、競合のトヨタ RAV4PHEV や三菱アウトランダーPHEV、ハリアーPHEVより130〜230万円ほど安く、安すぎて「逆に不安」と感じられます。
BYDは直近において、SEALやシーライオン7を約100万円値引きというキャンペーンを実施するなど、「とにかく日本市場で台数を伸ばしたい」という意思が伺えるものの、そこまで安くしないと売れないのか?と逆に心配してしまいます。
一方、BYDの積極的な店舗展開は継続しており、当初予定していた2025年10月末での100店舗達成は難しいものの、2026年にかけて、大手のオートバックスやヤナセを巻き込んで、販売・整備体制を強化していく狙いです。
本日は、BYDの新型PHEV「シーライオン6」について価格や購入時の項目についてみていきます。
シーライオン6のコストパフォーマンスは圧倒的
シーライオン6は下記表のように、競合車種と同等以上の航続可能距離を確保し、車両価格は100~150万程度と安くなっており、コストパフォーマンスとしては圧倒的です。
| 車種 | 価格 | 航続距離(実質) | EV走行距離 |
|---|---|---|---|
| BYD シーライオン6 | 3,982,000円 | 800〜900km | 100km |
| トヨタ RAV4 PHEV | 5,661,700円 | 約900km | 95km |
| 三菱 アウトランダーPHEV | 5,294,300円 | 約800km | 105km |
| ハリアーPHEV | 6,260,100円 | 約900km | 93km |
さらに、内装を含んだ下記のような各種装備についても、国産車の標準グレードを大きく上回る内容となっており、価格競争力は非常に高いです。
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レザーシート
- 高性能オーディオ(インフィニティ)
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シートヒーター
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大型センターディスプレイ
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先進運転支援システム(3R1V ADAS)
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パワーバックドア
エクステリアは、元アウディのデザイナーが手掛けた「シーライオン7」のデザインを踏襲しており、欧州車のようなシャープなデザインです。
シーライオン6の装備、性能、先端技術をみると、競合車種と同等価格でも勝負できそうですが、ここまで値段を下げているところにBYDの執念を感じる反面、ここまで下げないと売れないという自信の無さも感じられます。
納期は「約1か月」と非常に短い
シーライオン6の納期は2025年12月時点では 約1か月前後と短納期です。
国産SUVで3~6か月待ちという車種が多い中、すぐ乗れるのはメリットと言えます。
補助金は未定(2026年1月に正式決定予定)
シーライオン6のPHEV補助金は現時点では未定で、2026年1月に確定予定となっています。
国内での販売実績に乏しいBYDの補助金は国産車よりも少ないことが予想されますが、各自治体の補助金も含めると馬鹿にならない金額となりそうです。
ローン金利は「2.9%」+月15,000円から
シーライオン6をローンで購入する際の金利は「2.9%」と国産ディーラーなどの販売店のローン金利に比べると安めです。
BYDが推奨する4年のローンで組むと、支払シミュレーションは下記となり、月15,000円(ボーナス時50,000円)からの月額支払となっています。
▼ローン例(49回払い)
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車両本体価格:3,982,000円
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頭金:1,507,700円
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支払い回数:49回(分割48回+据置1回)
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実質年率:2.9%
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毎月支払:15,000円 × 48回
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ボーナス加算:50,000円 × 8回(4年間)
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最終回据置金額:1,592,767円
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支払総額:4,220,467円
最終回の据置額(残価)は1,592,767円と車両本体価格の40%程度ということで、国産の競合車種に比べると安めですが、実は据え置かれる金額が小さいと支払金利は安くなるというメリットはあります。
また、他社で4年度の買取価格が据え置き金額より高い場合は、そちらに売却することで差額を受け取れる可能性もあります。EVの買取価格はガソリン車やハイブリッドと比べて安めですが、PHEVはEVよりもリセールが良いため、据え置き金額を上回る可能性は大きいと思われます。
シーライオン6の オプションは最低限。コーティングは88,000円
シーライオン6購入時に付けられるオプションは下記のように少ないです。
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ドライブレコーダー
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ETC
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ボディコーティング(88,000円)
ボディコーテイングはシーライオン6の車格の場合、他社「ネクステージ」や輸入車ディーラーなどでは、10~15万円はするので、88,000円というのは良心的な価格設定です。
BYDの戦略として、標準で主要な装備類は全て含まれており、わかりやすいという反面、国産車のように多数のオプションを付けて自分好みの仕様にするということはできません。
メンテナンスパック(整備パック)は約14万円
購入後の整備に関しては、3年間の定期点検と初回車検費用がセットで 約14万円のパッケージがあります。価格としては、国産ディーラーのメンテナンスパックとほぼ同等の価格帯です。
BYDは日本での出店を加速
BYDの販売網は2025年12月で約70店舗と目標の100店舗には届いていませんが、下記のように大手のオートバックス・ヤナセもディーラー契約を結び、国内出店を加速しています。
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2025年12月:オートバックスがBYD取り扱いの新店舗をオープン
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2026年夏:ヤナセが横浜にBYDショールームを開設予定
特に、輸入車販売の老舗「ヤナセ」がBYDのディーラーになることで、全国のヤナセ店でBYDの扱いが行われる可能性があり、場合によっては大きく対応エリアが拡がる可能性があります。
国内販売は苦戦中だが「シーライオン6」と「ラッコRACCO」で巻き返しをはかりたいBYD
シーライオン6はの装備は、サンルーフ、パワーバックドア、インフィニティのサウンドシステム、全席幼児置き去り警告、ヒーター・ベンチレーション付きシートなど、国産車のオプションにすると100万は超える装備内容でコストパフォーマンスは圧倒的です。
エクステリアのデザインも悪くなく、国内での実績が乏しい中国メーカーということが気にならなければ普通に売れそうではあります。
国内では苦戦を強いられているBYDですが、受け入れられやすいPHEVというジャンルに圧倒的なコスパを武器に巻き返しをはかりたいところです。
2026年夏頃には、新型軽自動車EV「ラッコ(RACCO)」を投入し、一気にシェアを拡大する狙いですが、どこまで受け入れられるかは未知数です。
BYDは早期のシェア拡大を渇望しており、シーライオン6の初期購入特典として充電費用1年間無料なども提供しているので、興味がある方は近隣のBYDディーラーに足を運んでみてはどうでしょうか。





