ビッグモーターの「不正請求疑惑」における背景3つ

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中古車取販売大手のビッグモーターが取引先の保険会社に対する「車両修理費用」を水増しして不正な請求を組織的に行っている疑惑があると、話題になっています。

ビッグモーター関係者からの内部通報により、過剰な車両修理が複数実施されているということで、取引のある保険会社が調査したところ、約80件の疑わしい案件が発覚したとのことです。

ただ、過剰な車両修理については、昔から線引きが難しく、顧客に対するサービスの一環として実施されることもあり、どの販売店においても保険修理時に過剰な車両修理が無いとは言い切れません。

ビッグモーターの疑惑は、複数の拠点で疑わしい多くの案件が見つかったということで、組織的かつ悪質なケースが問題視されています。

また直近では、客のタイヤを意図的にパンクさせる動画が発覚しており、不正請求につながっていると見られています。

本日は、ビッグモーターの不正請求疑惑について、過剰な車両修理につながった考えられる背景についてみていきます。

 





事故などによる保険適用時における車両修理の過剰な請求については、昔から問題視されており、保険会社のチェックも年々厳しくなってきています。

そんな中、ビッグモーターにおいて、損傷のない部分に板金塗装を施したり、必要以上の作業を実施したりという過剰な請求が多くの拠点で発覚したということです。

ビッグモーターにおける、上記のような過剰請求に至る背景について大きく3つをみていきます。

 

背景① 板金修理は利益率が高い

中古車業界は競合が激しく、車両単体での粗利は大きく見込めません。そのため、どの会社も整備やオプションなどの付帯費用で収益確保を見込みます。

中でも板金修理は収益をしっかりと確保できるひとつであり、ビッグモーターは板金工場を自社で持つことから、特に利益率が高いです。

一方で、業界最大手として成長を継続するビッグモーターの各店舗の利益目標は非常に高く、各部門長は日々数字に追われています。

店舗ごとの高い利益目標を達成するためにも、板金修理でしっかりと利益を確保する必要があります。

車両単体の利益率が低い中、ドル箱の板金作業に注力してきた結果、各店舗における過剰な作業につながった可能性があります。

 

背景② 板金工場が店舗に併設され、自社で車両修理を完結している

ビッグモーターの特徴として、自社の大型販売店に板金工場を併設し、車両修理が完結できるということがあります。

ガリバーやネクステージなどの他社大手は、自社で板金工場を保有せず、板金修理は提携する整備工場に依頼しています。

提携する整備工場に依頼する際に、明らかに過剰な作業があると、「さすがにこれは・・・」となります。

ビッグモーターでは第三者の目が入らず、全ての作業を完結できることから、過剰な作業への指摘が甘かったということが考えられます。

 

背景③ 内部統制の甘さ

ガリバーやネクステージが東京証券取引所に上場しているのに対し、ビッグモーターは上場していません。

上場企業には四半期ごとの決算開示に加え、自社での内部統制システムを確立し、報告する義務もあります。

内部統制とは、「企業不祥事を防ぎ、業務の適正を確保するための社内体制」であり、会計監査人である監査法人からもチェックされます。

内部統制上では、不正を防ぐための仕組みを構築し、それを社内・社外から定期的にチェックする必要があります。

上場企業であれば必須とされている内部体制のチェックが、非上場であるビッグモーターでは十分に機能していなかったと考えられます。

 

保険会社がどこまで追求できるかは疑問

中古車販売店と保険会社は密接な関係があり、お互いに持ちつ持たれつの関係が構築されています。

保険会社にとって、多くの保険獲得をしてくれるビッグモーターは大のお得意様であり、どこまで不正請求疑惑を追及するかは定かではありません。

現に、損害保険ジャパンでは、「一部の過剰な請求は部署間の連携不足や作業員のミスなどのよるものであり、組織的な不正ではない」と結論付けているとのことです。

同様の取引先である、東京海上と三井住友海上は追加調査を依頼しているとのことですが、ビッグモーター側が応じるかどうかはこれからのようです。

ただ、保険会社としても、過剰な車両修理の横行を見抜けなかった体制を問題視される懸念もあり、今後の関係性を考慮してもどこまで追求するかはわかりません

今後、より細かく調査するためには、当事者同士ではない第三者機関の調査も必要になると思われます。

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