 
        中国電気自動車メーカー「BYD」が発表した新型軽EV「RACCO(ラッコ)」が、ジャパンモビリティショー2025で実車公開されました。
実際に見た所感としては、従来の「SEAL(シール)」や「SEALION7(シーライオン7)」のような欧州車風ではなく、かなり日本向けのデザインにしてきており、個人的にはタントに似ている印象を持ちました。
国内では軽自動車のEVは乗用車ほど普及していませんが、ホンダも新型の軽自動車「N-ONE e:」を直近で発売し、BYDの参入で市場がより活性化しそうです。
BYDの新型軽EV「RACCO(ラッコ)」は2026年夏頃の発売予定ということで、販売価格や航続可能距離などの詳細は明らかになっていませんが、今までのBYDの戦略や乗用車の価格設定を踏まえて、おおよその数字を推測していきます。
BYD「RACCO(ラッコ)」の予想価格は200〜300万円前後か
BYDは過去の乗用車ラインナップとしてエントリーモデルと上位モデル(ロングレンジモデル)の2グレード構成での販売が主流です。BYDラッコもエントリーモデルと上位モデル(ロングレンジモデル)の2グレードが予想され、価格はそれぞれ200万円台前半(エントリーモデル)、300万円前後(ロングレンジモデル)と見込まれます。
エントリーモデルでは、日産サクラ・三菱ekクロスEVの約250万円を下回った価格が予想され、上位モデル(ロングレンジモデル)としては、国産他社の上位グレードの約300万円と同様の価格設定が予想されます。
航続距離としては、エントリーモデルでは約200キロ程度と予想されますが、ロングレンジモデルでは300キロ超えという従来の軽EVの航続距離を大きく上回る可能性があり、高いコストパフォーマンスで勝負をかけてきそうです。
BYDラッコの航続距離は最大370kmを予想
BYDラッコはグレード別に2つのバッテリー容量が用意され、いずれも軽EVの課題である「航続距離の短さ」を克服すべく、200キロ~300キロの航続可能が予想されます。
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ショートレンジ仕様(エントリーモデル):約20kWh → 航続距離 約180〜200km 
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ロングレンジ仕様(上位モデル):約40kWh → 航続距離 約300〜370km 
既存の日産サクラ(約180km)やeKクロスEV(約180km)よりも圧倒的に長い航続距離を誇ることになります。
通勤・送迎・買い物などの近距離利用はもちろん、郊外への旅行など長距離ドライブでも活躍しそうです。
補助金は最大100万円予想、国と自治体で大幅支援
2025年度のCEV補助金では、軽EVが約55〜58万円で、さらに、東京都なら40~45万円、神奈川県なら30万円といった自治体補助も併用可能です。
これにより、最大で合計100万円近い補助金を受けられる可能性があります。
例えばBYDラッコのロングレンジ仕様(約300万円)なら、補助金適用後の実質価格は約200万円前後になる計算です。
ただし、この補助金は現在の国産EVの水準のため、場合によっては乗用車のように販売実績等を考慮され、国産メーカーよりは減額される可能性もあります。
BYDラッコ と 日産サクラ・eKクロスEV・N-ONE e: 比較表
軽EV市場の主要モデルとBYDラッコとの販売価格/航続距離/バッテリー容量/補助金(国)実質負担額の目安の比較表です。
| モデル名 | メーカー | 価格(税込) | 航続距離(WLTC) | バッテリー容量 | 補助金(国) | 実質負担額の目安 | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| BYD RACCO(ラッコ) | BYD | 230〜300万円(予想) | 約180〜370km(予想) | 約20〜40kWh(予想) | 約50万円(予想) | 約180〜250万円(予想) | 
| 日産 サクラ | 日産 | 259万〜308万円 | 約180km | 20kWh | 57.4万円 | 約200〜250万円 | 
| 三菱 eKクロス EV | 三菱 | 256万〜313万円 | 約180km | 20kWh | 56.8万円 | 約200〜255万円 | 
| ホンダ N-ONE e: | ホンダ | 269〜319万円 | 約290km | 29.6kWh | 57.4万円 | 約210〜260万円 | 
※BYDラッコは現時点での予測。
BYDラッコで予想される充実装備3点
① 大画面ナビ・デジタルインストゥルメントパネル
BYDラッコのキャビンには浮遊型の大型ディスプレイが2枚(デジタルメーター+大型タッチインフォテインメント)を搭載され、近未来的な室内空間が演出されそうです。
国産軽EVと比較して、「先進感」「使いやすさ」の両面で優位性を持ちそうです。
加えて、広めの室内空間と両側スライドドアを活かした“乗降・荷物載せ”の快適性も特徴です。
② 安全装備・予防安全性能の充実
BYDの公式サイトでは、以下の技術を掲げています
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ブレードバッテリーによる高い安全性、衝突時の耐久性。 
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CTB(Cell to Body)構造によりボディ剛性を高め、乗員保護を強化。 
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高度なADAS(自動緊急ブレーキ、車線維持支援、死角検知など)を標準装備レベルで展開。 
これらの最新技術が搭載されることにより、一層の価格競争力を持ちそうです。
③ 室内空間とデザイン性の優位性
車体寸法からも、3395×1475×1800mmというスーパーハイトスタイルにより、「頭上空間」「荷室」「乗降性」において、従来の国産軽EVを上回る利便性を確保しそうです。特に競合他社が採用していない、両側スライドドアの採用は、軽自動車クラスにおいてファミリー層・高齢者層への大きなアピールポイントとなりそうです。
補助金+キャンペーンで実質負担がさらに軽くなる可能性あり
BYDは既に国内展開モデルにおいて「初回1000台限定値引き」「充電器導入・電気代サポート」「0%ローンキャンペーン」などの多くの顧客インセンティブを実施しています。
そのためラッコでも、補助金+値引き+充電関連サポートなどが組み合わされることで、実質負担額はさらに軽くなりそうです。
また、ローン金利についても0%とか1.9%など低金利キャンペーンを打ち出す可能性が高く、ローン購入者にとってはさらなるメリットが見込めます。
発売時期と今後の注目ポイント
BYDラッコの日本発売時期は2026年夏頃と予想されており、今後の注目ポイントは大きく下記3つです。
①充電性能(急速充電・普通充電)の仕様
②日本仕様の安全装備とADAS対応
③CEV補助金の正式対象化
正式発表のタイミングで、予約開始情報や価格詳細が明らかになる見込みです。
最後に
BYDは日本市場に参入してから、ATTO3・ドルフィン・SEAL(シール)・SEALION7(シーライオン7)と次々に新型車を出していますが、売れ行きはそこまで伸びていません。
さらなる攻勢を強めようと、日本の軽自動車市場という世界でも特殊な市場に参入を予定し、並々ならぬ決意が感じられます。今までの乗用車の戦略をみてきても、価格的には競合よりかなり優位な条件を出してくると思われ、補助金の状況によっては、かなりのメリットが出る可能性があります。
サポート体制や安心感では国産メーカーのほうが優位のため、どこまで販売台数を伸ばせるかは未知数ですが、今後のBYDラッコの詳細情報に期待が持たれます。





