「今の車、いつ売るのがいいのだろうか」漠然とそう思っている方に、現状の中古車オークションの状況と売り時についてお伝えします。
結論から言うと、2026年の中古車買取相場はオークション市場で過去最高水準が続いており、売却を検討しているなら早めに動くことをお勧めします。ただし、「何が売れやすいか」は車種によって異なり、大きく差が出る場合もあります。
本日は、中古車業界に15年所属した筆者が、2026年の中古車相場が高い理由・今後の見通し・売り時の判断基準について解説します。
2026年の中古車買取相場——データで見る現状
まず現在の相場の実態を数字で確認します。
中古車オークション最大手のUSSが公表した2026年3月期月次データによると、2026年2月の成約車両単価は138.0万円(前年比9.5%増)、3月は122.0万円(前年比9.3%増)と、通期を通じて前年を上回る水準で推移しており、3年前と比較すると約1.5倍となっています。
◆成約車両単価推移グラフ(USSオークションデータより)
2026年3月期の年間累計成約台数は前年比9.4%増の234.8万台に達しており、出品台数・成約台数ともに前年を大幅に上回りました。通期の平均成約単価は125.5万円と前年(120.6万円)から4.1%上昇しています。
さらに長期トレンドを見ると、ガリバーを運営するIDOMが集計した平均売却予想額(買取相場)は、2021年から2025年にかけて全体で142%、国産登録車に限ると156%という大幅な上昇を記録しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| USS成約車両単価(2026年2月) | 138.0万円(前年比+9.5%) |
| USS成約車両単価(2026年3月) | 122.0万円(前年比+9.3%) |
| USS年間成約台数(2026年3月期累計) | 234.8万台(前年比+9.4%) |
| USS通期平均成約単価(2026年3月期) | 125.5万円(前年120.6万円→4.1%増) |
| 中古車輸出台数(2025年11月累計) | 156.2万台(2024年通年157.3万台に迫る) |
| 買取相場の上昇率(2021年→2025年) | 全体142%・国産登録車156% |
| 新車販売台数(2025年) | 456.6万台(前年比3.3%増で回復基調) |
「中古車が高い」というのは感覚ではなくデータから裏付けられています。
なぜ2026年も中古車買取相場が高いのか——5つの理由
理由① 円安×海外輸出需要の急拡大——3年連続で過去最高を更新
現在の買取相場高騰の最大の要因は円安に伴う海外輸出需要の拡大です。
日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の統計によると、2025年の中古車輸出台数は前年比9.1%増の170万8,604台と、3年連続で過去最高を更新しました。
輸出台数の年次推移を見ると、直近4年間で一貫した右肩上がりが続いていることが明確です。
| 年 | 輸出台数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2022年 | 約140万台 | 過去最高(当時) |
| 2023年 | 約154万台 | 前年比110% |
| 2024年 | 156万6,621台 | 前年比102% |
| 2025年 | 170万8,604台 | 前年比109%・過去最高 |
(出典:日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)・2026年1月29日公表)
1ドル150〜160円台が続く円安環境では、海外バイヤーにとって日本の中古車が割安になります。業界関係者によると、「1ドル=130円程度の円高に振れても充分に利益を出せる」という輸出業者の声もあり、まだ輸出を伸ばせる余地があると見られています。
輸出先トップはUAE(アラブ首長国連邦)で2年連続首位・年間25万2,637台。UAEは中古車の輸出ハブ拠点となっており、周辺中東・アフリカ諸国への再輸出も行われています。2026年2月の最新データでは輸出台数首位がタンザニア(前年比116.9%増)に変わっており、アフリカ新興市場への需要が急速に拡大しているのが最新のトレンドです。
国内オークションでは海外バイヤーが直接参入して高値で買い付けるケースが増え、国内の中古車販売店が「仕入れで競り負ける」というのが現状です。
海外で特に人気が高い車種・条件は以下のとおりです。
- トヨタ ランドクルーザー・ハイラックス・プラド・RAV4(中東・アフリカ向け)
- トヨタ アルファード・ヴェルファイア(中東・東南アジア向け)
- トヨタ ハイエース バン・ワゴン(東南アジア・アフリカ向け)
- 4WD・ディーゼル車(アフリカ・中央アジア向け)
- 白・黒パール・本革シート・サンルーフ装備(高値加算要因)
- 走行距離10万km超の過走行車も輸出向けとして再評価されるケースが増加
理由② 海上輸送の安定化——輸出拡大の物流面での追い風
2024年は紅海情勢の悪化によるコンテナ不足・海上輸送の混乱が輸出の足かせとなっていましたが、2025年以降は海上輸送環境が安定し、輸出の物流面でも追い風が吹いています。
さらに、2026年以降に自動車専用船(RORO船)の新船が本格的に増加する予定で、物流コストが下がるにつれて今後ますます輸出台数が増加していくとの見方が業界関係者の間で広まっています。輸出需要は今後さらに高まる構造にあります。
理由③ 新車価格の高騰と「深刻なタマ不足」
半導体不足・物価上昇・円安による部品輸入コスト上昇などの影響で、新車価格は2023年以降も上昇を続けています。新車が高くて手が出ない消費者が中古車市場に流れることで、国内での中古車需要が底堅く維持されています。
一方、新車登録台数は2026年1〜3月に3カ月連続で前年同月比を下回っており、新車市場の本格回復が遅れています。新車販売が低迷すると下取り車・買取車が減少し、中古車の供給が細ります。業界では「深刻なタマ不足」と呼ばれるこの状況が続いており、需要に対して供給が追いつかない構造が相場を下支えしています。
また、軽自動車の新車価格が過去最高水準まで上昇したことで「新車の軽を買うなら中古の普通車のほうがいい」という選択が増え始めており、登録車の中古車需要が追加的に押し上げられています。
理由④ 輸出と国内の「二極化」——良質車が国内に回らない構造
中古車全体の流通量はUSSオークションの出品台数(前年比104.5%増)が示すように増加しています。ではなぜ相場が高止まりしているのか。その背景には「輸出市場と国内市場の二極化」という構造があります。
国内オークションに出品された中古車のうち、状態の良い人気車種・輸出向き車種は海外バイヤーが高値で競り落とすケースが増えています。その結果、国内の中古車販売店には「売れ筋の良質車が回ってこない」という仕入れ難が生じています。
業界では「出品台数は増えているのに欲しい車がない」という矛盾した状況が起きており、「タマ数は増えても良質なタマは輸出に持っていかれる」という二極化が国内の買取相場を押し上げる一因になっています。
ガリバーのデータによると、査定に持ち込まれる車の平均走行距離は2021年の79,709kmから2025年には81,485kmへと増加しており、より長く乗り続けてから売りに来る傾向も強まっています。良質な低年式・低走行車が国内市場に出回りにくくなっている構造は続いています。
理由⑤ 中国レアアース規制——2026年後半の追加的上昇リスク
2026年に入り、中国がレアアースの輸出規制を発動しています。ハイブリッド車・電気自動車に不可欠なレアアースの約7割を中国からの輸入に依存している日本の自動車メーカーにとって、これが新車の生産・納期遅延につながれば、再び「新車が手に入らないので中古車に需要が流れる」という2022年の再来シナリオが現実味を帯びます。
このリスクが現実化すれば、2026年後半から買取相場が再び上昇に転じる可能性があります。「高騰の時代が終わりかけている」ではなく「高騰の第2波が来るかもしれない」という局面に差し掛かっています。
いつまで相場高騰は続くのか——今後の見通し
正直に言うと、専門家の間でも意見が分かれています。ただし、2026年3月時点の最新データからは、以下のような方向性が浮かび上がっています。
「下押し要因」と「下支え要因」が拮抗している状態
相場を下押しする要因:
2025年は新車供給の回復で下取り・買取が増加し、USSオークションの出品台数も前年比104.5%と増加しています。市場に流通する中古車の絶対量は増えており、需給バランスは一定程度緩和しています。ただし2026年に入り新車登録台数が3カ月連続で前年比を下回っており、この流れが続けば流通増加のペースが鈍化する可能性があります。
相場を下支え・押し上げる要因:
- タマ不足の継続:新車登録台数の低迷で下取りに回る車が減少しており、業界関係者が指摘する「深刻なタマ不足」が続いています。供給の増加とタマ不足が相殺し合っている状態です
- 円安の継続:為替は「1ドル=150〜160円を推移」との見方が多く、海外バイヤーの購買力は依然として高い水準を維持しています
- 新車価格の高止まり:装備充実化・部品コスト上昇により新車価格の上昇傾向は続いており、割安感のある中古車への需要が底堅く推移しています
- 軽自動車の価格高騰による代替需要:軽自動車の新車価格が上昇したことで「中古の普通自動車のほうが割安」という選択が増え始めており、登録車の中古車需要が底上げされています
中国レアアース規制——2026年後半の最大の不確定要素
2026年最大の不確定要素が中国によるレアアース輸出規制です。
2026年1月、中国政府は軍民両用品目の輸出禁止措置を発動し、レアアースもその対象に含まれるとされています。レアアースはハイブリッド車・電気自動車のモーターや電池に不可欠な資源で、日本は現在その約7割を中国からの輸入に依存しています。
この規制が新車の生産・納期に本格的な影響を与え始めた場合、2022年の新車不足時と同様に「新車が手に入らないので中古車に需要が流れる」という再上昇シナリオが現実味を帯びます。ガリバーを運営するIDOMのマーチャンダイジング部門責任者も「今年も何かが起きる7月とともに欧州の動きに注意が必要」と述べており、夏場以降の市場変動に業界全体が注目しています。
シナリオ別の見通し(2026年後半〜2027年)
| シナリオ | 内容 | 現実性 |
|---|---|---|
| A:緩やかに下落 | 新車供給が本格回復し中古車流通量が増加。需給バランスが緩和に向かう | 2026年後半〜2027年にかけての基本シナリオ |
| B:高値維持 | タマ不足継続・円安・新車価格高止まりが下支えし横ばい推移 | 円安が150円超で続く限り可能性が高い |
| C:再上昇 | 中国レアアース規制が新車納期に本格打撃。2022年の再来 | 2026年夏以降のリスクシナリオ |
| D:急落 | 急激な円高(1ドル130円以下)で輸出需要が消滅し相場崩壊 | 可能性は低いが為替次第 |
現時点での最も可能性が高いシナリオは「B(高値維持)からA(緩やかな下落)への移行」です。
ただし、レアアース規制・円安の動向次第でCシナリオへの転換もあり得るため、「今は下がらないだろう」と高をくくって売却を先送りするのは危険です。売却を検討しているなら、市場環境が有利な今のうちに動くことをお勧めします。特に2026年9〜10月は決算期と秋の需要期が重なるため、年内で売るなら夏前に動き始めることが理想です。
今すぐ売るべき車種・待ったほうがいい車種
「相場が高い」とはいえ、すべての車種が同じように高いわけではありません。車種によって「今が売り時」「まだ待てる」が大きく異なります。
今すぐ売ることがおすすめできる車種
- ✅ トヨタ ランドクルーザー系(プラド含む)——旧型プラドはモデル廃止で今後徐々に相場下落が予想される
- ✅ トヨタ アルファード・ヴェルファイア——現行型(40系)の流通が増えてきており、先代(30系)の相場が徐々に調整局面へ
- ✅ 輸出向け人気のSUV・ハイエース——円安が続く今が輸出バイヤーの需要がピーク
- ✅ 初年度登録から5年を超えてきた車——国によっては初度登録から5年・10年超の輸入規制があり、年式が経つほど輸出先が絞られる
相場下落リスクが低く焦らなくていい車種
- ⚪ ハイブリッド車(プリウス・フィット等)——省エネ需要で国内外とも底堅い
- ⚪ 軽自動車(N-BOX・スペーシア等)——流通量が多く相場は安定推移
- ⚪ 新しいモデルチェンジ直後の車種——型落ちになるまでは価値が維持されやすい
高く売るには複数買取店を比較する
乗り換えを考えていて、少しでも高く売るためには複数の買取店を比較したほうが良いです。
直近では、自社での販売が好調な「ネクステージ」が在庫確保のために高値を提示することが多いです。「ネクステージ」の買取台数は下記グラフのように右肩上がりで、直近(2025年11月期)の年間買取台数は28.3万台とガリバーの18.3万台を大きく上回り国内トップです。
◆ガリバーとネクステージの年間買取台数の推移グラフ

自社で販売向きの年式が新しいとか、走行距離が少ないという車は特に高く買い取ります。
一方、販売店向きでない低年式や走行距離が多い車は積極的に値段を提示してこないため、その場合は「ユーポス」や「ラビット」を含めて比較したほうが良いです。
複数買取店に査定依頼する際は、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると、簡単に絞り込んで依頼することができます。
複数買取店を比較するのは面倒だし、営業電話が多くかかってくるのも避けたいという場合は、下記公式サイトより「ネクステージ」1社に依頼することも可能です。
最後に
2026年の中古車買取相場は、USSオークションの過去最高更新・輸出台数の記録的水準・円安継続という複数の要因が重なり、過去5年で最高水準にあります。
ただし、この状況がいつまでも続く保証はありません。新車供給の回復・為替の変動・輸出規制など、相場を動かす要因は複数あります。「いつか売ろう」と思い続けている方は、今の相場が高い状態のうちに動くことをお勧めします。




