
旧ビッグモーターから再建を急いでいる中古車販売買取大手「ウィーカーズ」の評判はどのようなものなのでしょうか。
結論から言うと、ビッグモーター時代から継続して販売や車検よりも買取の評判のほうが良い傾向です。
買取の評判が良い理由は、自社で直接販売することにより、再販向きの車は高く買い取ることと、ビッグモーター時代には行っていなかった下記取り組みによるものです。
取り組み① 査定日から7日間の価格保証
取り組み② 契約後、原則買取価格の減額なし
取り組み③ 引き渡し翌日までキャンセル可能
一方で、販売のほうはビッグモーター時代から大きく変わってはおらず、車両価格は安めだが、「オプションを強く勧められる」とか「諸費用が高い」という口コミがあり、評判はいまひとつです。
本日は、ウィーカーズの評判について、中古車業界に15年在籍していた筆者が解説します。
ウィーカーズの新たな買取時の取り組み3つ
ビッグモーター時代の不正事件からの信頼回復を行うために、ウィーカーズでは買取時の新たな取り組みとして下記3つの取り組みを実施しています。それぞれ見ていきます。
取り組み① 査定日から7日間の価格保証
中古車買取業界では、営業マンが契約を急ぐあまり「今だったらこの価格まで出します!」とか、「明日になると値段が下がる可能性があります」などの営業トークが散見され、クレームやトラブルに発展することも多くありました。
そこで、ウィーカーズでは査定日から7日間は査定額を保証するというユーザー目線の取り組みを行っています。
中古車の相場は日々移り変わり、はっきりとした金額を提示する買取店は少ない中、査定額を明確にし、一定期間保証することで安心感を与えています。
取り組み② 契約後、原則買取価格の減額なし
中古車買取でトラブルになりやすいもっとも多いケースが、契約後の査定額の減額です。
だいたいは、買取店の査定時による見落としに起因しますが、査定時にユーザーより申告がなく見落とされた事故歴などはユーザー側の責任とされ、買取店より減額の交渉をされます。
ビッグモーター時代はそのような減額の交渉を回避するための保証を有料で提供していましたが、ユーザーからは「なぜ見落としの責任を負担する保証に有料で入らなければならないんだ!」と評判は悪いものでした。
そのような経緯もあり、ウィーカーズとなってからは、「契約後の減額はしない」と明言し、取引のクリーンさをアピールしています。
取り組み③ 引き渡し日翌日までキャンセル可能
中古車売買のトラブルで査定額の減額の次に多いのがキャンセルトラブルです。
契約した後に「やはり車が必要となった」とか「他社がさらなる高値を提示してきた」などの理由により、違約金をめぐってトラブルになることが多いです。
ウィーカーズではユーザー側の事情によるキャンセルであっても、引き渡し翌日まではキャンセルを受け付けるということで、ユーザーの急遽の事情などにも配慮することで、顧客満足につなげています。
ウィーカーズの買取の評判と特徴3つ
直近で、大手買取店の営業マンからの話や実際に査定を利用した人からの話より、ウィーカーズの買取の評判と特徴は下記3つと筆者は考えています。
買取特徴① 査定金額をはっきりと提示する。引き際が早い。
買取店ははっきりとした値段を提示したがらないのですが、ウィーカーズは値段をはっきり提示することが多いです。
そして、無理な交渉はせずにその場で決まらないのがわかると、あっさり引くことが多いです。これは自分の提示した金額に自信を持っているという理由もあります。
ビッグモーター時代には強引な買取によりトラブルになることもあったため、そのようなスタイルからは全社において変革がされている印象です。
一方で、ユーポスやカーチスなどの買取店は営業マン自身を売り込み、金額よりも営業マンとの関係作りの中で買い取りを行うスタイルです。
ウィーカーズの営業は悪く言えば淡白と感じられるかもしれませんが、あまり営業されたくないとか、単純に高く売りたい、というユーザーには適していると言えそうです。
買取特徴② 直接販売できる車の買取に特に強い。
ウィーカーズは年式が新しいとか走行距離が少ないという、直接販売しやすい良質車の買取に強いです。
これは、ネクステージやガリバーなどの大型販売店を持つ買取店でも同様ですが、信頼回復を急ぐウィーカーズでは良質車を確保するために、直接販売しやすい車の買取に特に注力しています。
ユーザーから引き合いのある車両データをリアルタイムで買取時に利用し、高値買取につなげています。
一方、走行距離が多いとか、年式が古い、不人気な外装色など、店舗で在庫として持てない車は積極的に値段を提示してこないという反面もあります。
買取特徴③ 対応が丁寧でしっかりしている。
接客の姿勢として、対応が丁寧でしっかりしている印象です。
ビッグモーター時代にも対応はしっかりとしていましたが、不正問題以降、信頼回復のために接客にはより力を入れていると感じられます。
身なりもしっかりしており、書類の説明も不足なく行う印象です。
買取は「ネクステージ」が優位な傾向
ウィーカーズではビッグモーター時代から継続して中古車買取に注力していますが、直近では競合大手の「ネクステージ」のほうが優位な傾向です。
「ネクステージ」は自社での販売好調を受けて買取も好調であり、買取台数は下記グラフのように右肩上がりで、直近(2024年11月期)の年間買取台数は25.4万台とガリバー(16.2万台)やウィーカーズを大きく上回り国内トップです。
◆ネクステージの年間買取台数の推移グラフ
一方で、「ネクステージ」は低年式とか走行距離が多いという在庫として扱いづらい車には積極的に値段を提示してこないため、そのような際は、オークション販売に強い「ユーポス」や「ラビット」に依頼したほうが良いです。
複数買取店に査定依頼するには下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると簡単に近隣買取店を絞り込んで依頼することができます。
複数買取店を比較するのは面倒だし、営業電話が多くかかってくるのも避けたいという場合は、下記公式サイトより「ネクステージ」1社に依頼することも可能です。
ウィーカーズ販売の評判と特徴3つ
ウィーカーズはビッグモーター時代から継続して豊富な在庫台数と、多彩なラインナップが最大の強みとなります。大型販売店を各地に持つことから、希望する車種が店舗に無い場合でも、持ってきてもらえます。(※ビッグモーター時代には一定距離内の場合は無料であったが、ウィーカーズでは有料)
車の知識があまり無く、色々な車を実際に見て購入を決めたいというユーザーには評判が良いです。
販売価格は一般的な相場と同等若しくは若干安めです。未使用車の在庫も多く、ディーラーの新車よりも安価な価格設定です。
ウィーカーズの販売の特徴は大きく下記3つです。
販売特徴① 諸費用が高め
販売時の諸費用については、若干高めです。また、保証やコーティングなどの付帯作業の費用が予め入っていることが多く、その分は単純にプラスとなります。
中古車業界では販売価格を抑えるか諸費用を抑えるか、どちらに重きを置くかは業者によって異なりますので、ビッグモーターは販売価格を抑える戦略と言えます。車両本体での利益はあまり見込まず、諸費用で利益を見込むスタイルです。このスタイルはビッグモーター時代から大きく変わっていません。
そのため、保証やコーティングなどのオプションを強く売り込んでくるケースがあり、その点の評判はよくありません。
オプションを付けなければ売ってもらえないということは無いため、不要な際はしっかりと断ったほうが良いです。
ウィーカーズの諸費用詳細や保証・コーティングについては下記にまとめていますので、参考にしてみてください。
販売特徴② ローン金利が高め
ウィーカーズで購入時に提供されるオートローンの金利が高い、という評判があります。
ビッグモーターが提供するローン金利は6.9%ということで、ガリバーやケーユーなどの他社(8~9%程度)よりは安めですが銀行系やディーラーの金利よりは高めです。
ウィーカーズでローンを組むと手続きがラクというメリットがありますが、利息の支払いを抑えたいのであれば金利の安いオートローンを組んだほうが良いです。返済期間が長くなるほど、利息の支払額の差が大きく出てきます。
仮に300万円を5年(60回払い)ローンで組んだ場合、金利6.9%と金利2.9%(銀行系などの安い金利を仮定)では、支払利息で33万円も差が出ます。33万円というと高性能なナビやオーディオを買ってもお釣りがくる金額です。
支払総額を少しでも抑えたい場合は、銀行や信用金庫などが提供する金利の安い自動車ローンをおすすめします。
ウィーカーズのローン金利を含めた詳細については下記記事に詳細をまとめていますので、参考にしてみてください。
販売特徴③ 保証料が高め
ウィーカーズはビッグモーター時代に提供していた10年間という長期間の保証は取り扱いが無くなり、現在は「1年」「3年」「5年」というラインナップとしています。
その中でも、「1年」という短期間の保証に力を入れており、「3年」「5年」という保証は付帯できる車種を限定するなどし、ビッグモーター時代のように強く推奨はしなくなっています。
保証料は2,500CCクラスのSUVでで1年で約5万円、3年で約8万円となります。(年式等により若干異なります)ケーユーなどの他社に比べると高めの値段設定となっています。
高年式の車であれば、メーカーの保証を引き継げる(保証継承)ため、追加の保証の必要性は薄いです。
最後に
ビッグモーターの不祥事を受けて信頼回復を急ぐウィーカーズでは、以前にも増して接客対応に力を入れており、その点については、評判の良い口コミなども多く見られています。
ただ一方で、販売時の手法はビッグモーター時代より大きく変わっておらず、ビッグモーター時代と同様の口コミも散見されます。
元々ビッグモーター時代より、販売よりも評判の良かった買取については、「減額をしない」「キャンセル可能」という従来の中古車屋が取ってこなかった施策を打ち出して、よりクリーンさをアピールしています。
ビッグモーター時代からの店舗網を継続し、保有在庫数では国内有数のため、気になった車が近隣店舗にあるという場合は、上記のような注意点も踏まえて検討候補のひとつとして考えるのは良いかと思います。
伊藤忠商事のグループとして、今後の新たな販売施策等に期待がされます。