「ビッグモーター」から社名変更した「ウィーカーズ」は、不祥事によるイメージダウンを取り戻すべく店舗外装の刷新など再建を進めています。
2024年11月23日には、社名変更してからの出店としては初となる「ウィーカーズ山形」をオープンしました。
「ウィーカーズ山形」に実際に訪問してみた所感としては、看板は代わっているものの、店舗内装や車両展示の仕方はビッグモーター時代と変わっていない印象です。
一方で、販売手法については、「ビッグモーター」時代から一部変更されており、現時点での主な変更点は下記3つです。
変更点② ローン金利の値下げ(9.9%⇒6.9%)
変更点③ タイヤの山が減っている車は新品で納車
本日は、「ウィーカーズ」で中古車検討時に知っておくべき諸費用やローン金利とともに、ビッグモーター時代から一部変更となった販売手法を中心に見ていきます。
ウィーカーズの総額表示は最低限の見積もりで諸費用に車検費用などは含まれない
ウィーカーズは自社サイトやカーセンサー、グーネットで自社在庫を掲載しており、車両本体価格・諸費用・支払総額を明示しています。
明示されている諸費用は100~300万円前後の価格帯で、5~15万円と他社と比較しても安めです。ただ、この諸費用は名義変更をして納車できる状態にするのみの費用のため注意が必要です。
車検費用や管轄外登録費用、保証費用などは別料金となります。
筆者が店舗に訪問し、気になった車両について、表示されている支払総額以外に何か費用がかかりますか?と聞いたところ、「この車は車検が切れているので、車検費用がかかるのと、お客様の地域に登録する管轄外登録費用、あとは保証や希望ナンバー、コーティング費用は別途で合計すると20万円程度かかります。」との回答でした。
ちなみに、2,000CCの乗用車クラスで追加となる車検費用は約5万円、保証費用は3年で約8万円、コーティング費用は約7万円とのことです。
車によってはナビやETC、ドライブレコーダーなどの追加費用が発生する場合もあります。
保証費用やコーティング費用は任意のため支払総額に含まれないのは分かりますが、車検費用が支払総額に含まれないというのは違和感があります。
車検を取らないと乗れないのに、その費用が支払総額に含まれないというのはユーザーとしては理解しづらいです。
また、保証については、無償で付帯されるのは1カ月/1,000キロまでであり、それ以上の保証を付ける場合は有償となります。営業マンによっては、有償の保証とコーティングの付帯を強く勧められますので、不要な場合や支払総額を抑えたい場合は、しっかりと断る必要があります。
ウィーカーズのローン金利は基本6.9%
ウィーカーズで提供しているローンの金利は基本6.9%とのことで、ビッグモーター時代の基本9.9%より値下げされています。ただ、値下げされていても銀行系や保険会社の自動車ローンに比べて高めです。
なぜ高いかというと、下記表のように金利の大部分はウィーカーズの利益になっているからです。これは他の中古車販売店でも同様です。
ローン金利による利益(ローンのキックバックといいます)は、ウィーカーズの重要な収益であり、どれだけローンによる収益を上げたかで営業マンの評価にもつながります。
筆者の所属していた会社ではローンのキックバックの10%がインセンティブとしてもらえたため、50万円のキックバックがあれば5万円がインセンティブでした。
そのため、営業マンとしてはできるだけ長い期間でローンを組んでもらえるほうがありがたいのです。
ウィーカーズでローンを組むメリットは2つ
上記のように金利が高めなウィーカーズでローンを組むメリットは何になるのでしょうか?メリットは下記2つです。
メリット① 手間が少ない
銀行系の自動車ローンは金利が安いですが、手続きが面倒です。しかも審査にも時間がかかります。
その点、ウィーカーズでローンを組む時は、手間がほぼありません。
審査も約30分程度で、その後は営業マンが用意してくれる書類に記入するのみです。
ローン会社による本人確認も5分程度の電話で完了します。
メリット② 銀行系に比べて審査が通りやすい
ウィーカーズが提供しているオリコやセディナなどの信販系ローンは銀行系の自動車ローンに比べて審査がゆるいです。
銀行系の自動車ローンは連帯保証人が必要だったり、上限金額が設定されることが多いですが、信販系ローンではあまりありません。
ウィーカーズは規模が大きいため、ローンの取扱件数が他社に比べて圧倒的に多いです。
ローン会社はローンの取扱件数が多い取引先を優遇するため、申込者に多少の不安(勤続年数が短いとか他社での借り入れが多い等)があったとしても、通してくれることがあります。
支払利息をおさえるには金利の安いローンを利用する方が良い
ウィーカーズに限らずガリバー、ネクステージなど中古車販売店大手のローン金利は6~9%と割高です。
世間は低金利にもかかわらず、長年に渡り中古車販売店大手のローン金利水準は高いです。
それでも、販売店の営業マンに勧められるままにローンを組む方は多いです。
そのローンを金利の安い別な所で組むだけで、利息の支払いが安くなります。
仮に200万円を5年(60回)のローンで組むと、金利が2.9%と6.9%では下記のように約22万円も支払う利息の差が出ます。(銀行系のローン金利を2.9%と仮定)
ウィーカーズで購入するからといって、ローンもウィーカーズで組まなければならないということは無いため、時間がある方は、銀行や信用金庫などの金利の安いローンも検討することをおすすめします。
金利を下げてもらえる可能性もあり
ウィーカーズのローン金利は基本6.9%とのことですが、信用状況や交渉によっては下げてもらえる可能性もあります。
営業マンの話では利用するローン会社や信用状況によっては4.9%や5.9%などのより安い金利が適用となることもあるとのことです。
また、筆者の経験上、販売店の金利の決定権は販売店の責任者にあり、長く在庫となっている車を売る時や販売台数が足りない時に例外として金利を下げることがあります。
ただし、単に金利を下げてほしい!と言っても、応じてくれません。そのため、「比較検討しているディーラー系販売店でのローン金利は4~5%でした」のように具体的な数字を伝えたほうがよいです。
ウィーカーズくらいの規模になると、金利の利幅は大きいです。店舗責任者が金利を下げても販売したいと判断すれば、金利が下がる可能性は大きいです。
タイヤの山が減っている車は新品で納車
ウィーカーズとなって販売手法の変更点のひとつとして「タイヤの山が減っている車は新品で納車」という点があります。
営業マンの話では、タイヤの山が4分程度以下のものは新品にして納車するということで、対象車両にはプライスボードやWEBサイトの表示に「新品タイヤ」と表記がされています。
タイヤの山が減っているのだから替えるのは当たり前・・・と思ってしまいそうですが、他社大手では有償対応となるのが通常のため、ユーザーのメリットとしてあげられそうです。
今乗っている車を高く売るには複数買取店を比較する
乗り換えを考えており、少しでも持ち出しを少なくするため乗っている車を高く売るには複数の買取店を比較したほうが良いです。
ウィーカーズでも買取を強化していますが、高値を提示する確率が高いのは自社販売が好調である「ネクステージ」です。
自社の販売店の在庫拡充のため、年式が新しいとか、走行距離が少ないという再販向きの車は特に高く買い取ります。
また直近では、中古車相場が再高騰しており、良質車は特に高値が提示されます。
一方で、販売向きでない低年式や走行距離が多い車は積極的に値段を提示してこないため、そのような場合は「ユーポス」、「ラビット」を含めて比較したほうが良いです。
複数買取店に査定依頼する際は、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると、簡単に絞り込んで依頼できます。査定料は無料です。
複数買取店を比較するのは面倒だし、営業電話を受けたくないという場合は、近年利用者が増えてきている「オークション方式の買取サービス」という新しいサービスがあります。
「オークション方式の買取サービス」とは、ユーザーの車に興味がある買取店が、ネット上のオークションで競り合うことで、高く売れるという買取サービスです。
1度査定を受けた後は、オークションの開催を待つのみで買取店との交渉が不要です。
「オークション方式の買取サービス」を展開する「ユーカーパック」は全国の提携買取店最大8,000社から入札を受けることができ、ハマれば驚くほど高く売れるという評判があります。
人気車種や状態の良い車は特に高く売れる可能性があります。
出品者が設定する最低落札価格まで入札が入らず、売買が成立しないという場合もありますが、査定料や成約料などの手数料は無料であり、時間に余裕がある方は試してみてはどうでしょうか。
査定は下記公式サイトから依頼できます。
最後に
大型販売店で色々な車が選べるウィーカーズですが、実際の支払総額については初期で表示されている支払総額より高額になるケースがありますので、内容をしっかりと確認することをおすすめします。
ローンについても、ビッグモーター時代よりも下げられているとはいえ、長期でローンを組むと支払総額が思わず高額になることもあり、月々の支払額とともに総額の利息をしっかりと確認したほうが良いです。
今回、ウィーカーズとして新たに出店した店舗を訪問してみましたが、看板は刷新され、販売手法も一部変わっているものの、根本的にはビッグモーター時代と大きく変わっていないという印象です。
ビッグモーター時代と同様に、有償の保証やコーティングについては収益の柱ということで、営業マンによってはかなり強く提案されるため注意が必要です。
今後の展開次第では新たなサービスが提供される可能性もありますが、現時点ではこれといった他社より秀でているサービスは無いという印象であり、上記のような注意点を参考に検討してもらえたらと思います。