
中国のEVメーカー「BYD」の新型SUV「シーライオン7」が2025年4月15日より販売開始となりました。
「シーライオン7(2WD)」の車両価格は495万円と、競合のテスラ「モデルY(RWD)」より約60万円、日産「アリア(B6)」より約160万円、上位モデルの「シーライオン7(4WD)」でも「モデルY(ロングレンジ)」より約70万円、「アリア(B9 e-4ORCE)」より約125万円安い価格設定になっています。
「シーライオン7」の国からの補助金(CEV補助金)は35万円と「テスラモデルY」の67万円、「日産アリア」の89万円より少額ですが、そちらを差し引いても安い価格とされています。「シーライオン7」は国からの補助金(CEV補助金)を加味すると実質460万円となり、地方自治体からの補助金を考慮するとさらに安価となります。
「シーライオン7」の購入時のユーザーメリットは大きく下記3つです。
ユーザーメリット② ローン金利が安め
ユーザーメリット③ 納期が短い
本日は、BYDの日本投入第4弾となるSUV型「シーライオン7」について詳細をみていきます。
BYDの「ATTO3」「ドルフィン」「SEAL」と続いて、日本投入4車種目となるSUV型EV「シーライオン7」の購入時のユーザーメリットは大きく下記3つです。
ユーザーメリット① コストパフォーマンスが高い
「シーライオン7」と競合4車種(テスラ「モデルY」、日産「アリア」、ヒュンダイ「アイオニック5」、トヨタ「bz4x」)の価格・スペックについての比較表は下記となります。競合として先行するテスラ「モデルY」より一充電当たりの航続距離は長く、価格は安いです。競合他社の中で「シーライオン7」の価格は唯一400万円台でありコストパフォーマンスは高いです。
◆SUV型EVの比較表
「シーライオン7」は後発のため、競合車種に比べて価格を抑えているということもありますが、車両スペックのみならず、「デジタルキー」「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」「全席シートヒーター」などの装備も充実しており、また内装の質感も高く、価格競争力は非常に高いです。
また、諸費用については約13万円と名義変更手数料などの最低限の費用となっており、支払総額も安価となっています。
BYDの販売戦略として、後付けのオプションを多数用意せずに、必要なものは標準装備で車両本体価格に入れ込んでいるということがあり、ほとんど追加のオプション料が発生しないという特徴もあります。オプションとして追加で付けられるのは「ドライブレコーダー」「コーティング」「メンテナンスパッケージ」くらいです。
国内メーカーのように細かいオプション設定はないため、自分好みで色々オプション追加したいという方には物足りませんが、わかりやすいというメリットはあります。
ユーザーメリット② ローン金利が2.9%と安め
「シーライオン7」をローンで購入する時の通常金利は2.9%となり、国産ディーラーの通常金利4~5%と比較して安めです。
一例ですが、「シーライオン7」の購入総額508万円を4年の残価設定型ローンで購入の場合、金利2.9%と4.9%では月額の支払いで約6,000円、総額支払で約29万円の差が出ます。
◆ローン金利による支払額比較表
※契約期間(4年)終了時の残価は198万円 ボーナス払い無し
また、BYDの各販売店ではキャンペーンで0.9%や1.9%というさらに安い金利を適用していることもあります。
ちなみに、BYDで設定される4年後に据え置かれる車両価格(残価)は198万円となり、国内のSUV車に比べて安めです。そのため、月の支払額が若干高くなっています。契約終了時(4年後)にディーラーに返却する場合は、買取店を比較して高く売れるほうを選択したほうが良いです。
ユーザーメリット③ 納期が短い
「シーライオン7」の納期は約1カ月ということで、他社の国産メーカーなどと比べて納期が短いです。
BYDは短納期を実現すべく、全国で供給網を強化しています。
筆者が訪問したBYD AUTO足立店では最短3週間で納車が可能ということで、すぐに手元に欲しいという方には適しています。
国からの補助金は35万円
「シーライオン7」の国からの補助金は35万円となり、下記のように競合他社に比べて少額となります。2024年度以降販売網などを考慮されて、BYDの補助金は減額されており、購入者やメーカーとしてはかなりの痛手です。
◆CEV補助金の比較表
ただし、各地方自治体からの補助金は追加で受けられ、例えば東京都では追加で45万円、さらに足立区では10万円など、自治体によっては大きな補助金を受けられ、購入者の負担は軽減されています。
上位グレード(4WD)も他社より安価
「シーライオン7」はスタンダードグレード(2WD)と上位グレード(4WD)の2グレード構成となっていますが、上位グレード(4WD)においても同クラスの競合テスラ(モデルYロングレンジ)や日産(アリアB9 e-4ORCE)と比較して安価となっています。
「シーライオン7(4WD)」は航続距離は「モデルYロングレンジ」や「アリアB9 e-4ORCE」に劣るものの、パワー(最高出力)では上回っており、500馬力以上という高い動力性能を誇っています。
デザインは元アウディグループのデザイナーが手掛ける
「シーライオン7」のデザインはアウディやアルファロメオのデザインを担当してきた、ウォルフガング・エッガー氏が手掛けており、欧州車に似たシャープなエクステリアとなっています。
フロントフェイスはBYDのセダン「SEAL」を踏襲したスタイルになっていますが、「SEAL」よりも迫力がある印象です。リアビューは近年のハイグレードSUVと同様に横長のテールランプが採用されています。
カラーバリエーションは4色
「シーライオン7」の外装色は「アトランティスグレー」「オーロラホワイト」「シャークグレー」「コスモスブラック」の4色となっており、競合他社と比べて選択できる種類は少ないです。
リセールを考えると、「コスモスブラック」「オーロラホワイト」を選択したほうが良いです。
乗り換え検討時は複数買取店を比較する
「シーライオン7」を販売するBYDのディーラーは、中古車販売大手「ネクステージ」や国内ディーラー系列店など地域の販売店で構成されています。
そのため、下取(買取)も積極的に行っていますが、より高く売るには複数買取店を比較したほうが良いです。
大手買取店の中では「ネクステージ」が年間買取台数25万台超え(2024年11月期)と買取実績国内ナンバー1であり、高値を提示する確率が高いです。ただし、「ネクステージ」は低年式・走行距離が多いなどの販売店で売れにくい車は積極的に値段を提示してこないため、そのような場合はオークション販売に強い「ユーポス」もしくは「ラビット」を含めたほうが良いです。
直近では、オートオークションでの中古車相場が高騰しており、高く売るためには早めに行動することをおすすめします。
複数買取店を検索、査定依頼する際は「カーセンサーネット」を利用すると買取店を簡単に絞り込んで依頼できます。査定依頼は下記公式サイトから可能です。
BYDの国内販売は苦戦、対するテスラは好調
BYDの2024年における国内販売台数公表値は2,223台となっており、月平均では185台とあまり売れていません。国内でのEV販売が期待されていたほど伸びていないということも原因のひとつですが、車の完成度の高さや安価な価格設定にもかかわらず、BYDの販売は苦戦しています。
一方で、競合のテスラは販売好調で、2025年1月~3月の販売実績は前年比56%と過去最高となっています。好調な理由は、充電無料などのキャンペーンとともに、国産の「アリア」や「bz4x」の低迷の裏返しと見られています。
BYDでは2025年4月1日より、コンパクトEV「ドルフィン」を大幅値下げするなど、本格的にシェアを伸ばそうと本腰を入れてきており、販売店ネットワークも2025年の年末までに100店以上形成するということで、販売網や充電体制などがより整備され、ユーザーへ浸透していけば、シェア拡大につながりそうです。