中古車業界は厳しい時代と言われています。少子高齢化に加え、若者の車離れ、消費税増税などマイナスの要素が非常に多いです。
しかし、マイナスの要素だけではありません。例えば業界大手のガリバーのようにIotを活用した次世代サービスについて積極的に取り組み、新しいサービスを生み出そうとする企業もあります。
自動車業界の発展に伴い、中古車業界の進化も期待されており、成長の可能性は十分にあります。
また、中古車業界は実力主義の業界であり、車好きには勿論、車への興味が薄い方にとってもやりがいのある業界なのです。
本日は業界の現状と展望とともに業界の魅力や待遇などの詳細について、中古車業界に15年所属した筆者が実際の経験をもとに、解説していきます。
転職や就職を考えている人に参考になればと思います。
もし、本気で検討している方は、志望動機や業界研究の一助としてください。
中古車業界の現状と展望
中古車登録台数は2000年以降年々減少していましたが、直近5年間では下記のように380万台前後でほぼ横ばいで推移しています。(日本自動車販売協会連合会調べ)
直近では感染症対策のため、自家用車の有用性が再認識されてきており一定の需要増はありますが、今後大きく登録台数が回復するとは考えにくいです。
確かに中古車業界は厳しい状況ですが、ビッグモーターやネクステージなどユーザーをしっかりと捉え、伸びている会社も存在します。
また、自動車業界ではインターネット技術の発達により、自動運転などの次世代の技術が着々と取り入れられてきていることもあり、中古車業界でも様々な新しいサービスが展開されるだろうと言われています。
ガリバーはいち早くIotを活用したサービスについて具体化を模索しています。グーグルなどの世界的企業も自動車業界に参入してきています。
そのような面を考えると、単純な車の販売や買取という伸びしろは少ないものの、今後は様々な新しいサービスが展開される業界と思われ、発展が十分に期待できます。
中古車業界の職種別魅力
中古車業界の職種とは具体的にどのような職種があるのでしょうか。一般的な企業にあるバックオフィス部門や企画部門を除いては大きく下記3つの職種があります。職種別に魅力を解説していきます。
①買取営業部門の魅力
実際に車を買い取ってくる部門です。一昔前は車の仕入はオートオークションで行うのが主流でしたが、近年は個人や法人のユーザーから直接、車の買取を行うのが主流であり、ほとんどの会社で買取部門を持っています。
買取営業の主な業務としては見込み客の車を査定し、商談をして車を買い取ることです。魅力としては大きく下記3つがあります。
魅力① 個人宅や法人企業に出向き様々な人と出会え、1対1での商談をすることで交渉力が鍛えられる。
買取営業の主流は出張営業です。実際にお客様の自宅や会社に出向いて査定及び商談をします。商談の場所は個人の自宅、会社の事務所、駐車場など様々です。
自動車を所有する方は年齢を問わず様々な人がいます。法人のトップの方と商談をすることもあります。その方々と1対1で買取金額の交渉をする訳ですから、交渉力が身に付きます。金額が数百万と高額となることもあり、若くして単独でそのような商談ができる業界はあまりないと思います。
近年は競合が激しく数社同時に商談を行うことも珍しくありませんが、商談が進む中で車以外の話をしたり、信頼関係が生まれることも多いです。筆者も業界は離れていますが、10年ほど前に買取の営業で親しくなり、今だに関係が続いている方もいます。
車の買取営業は一見すると、金額を高く提示すればいいと思われがちですが、自分自身を売り込むことが大事であり、そのことが結果に繋がるため、人間力を高めるという面でも魅力があると思います。
魅力② 国産車、輸入車問わず査定の対象となり、様々なメーカーの車種に触れられ、実際に運転することもある。
お客様が所有する車は多種多様であり、国産車、輸入車問わず様々なメーカーの車種に触れることができます。中には滅多に見られないような希少車を査定することもあり、車好きでなくても興味を持つことが出来ると思います。
また、買い取った後は、陸送業者に輸送を頼むこともありますが、営業が実際に運転して引き取りを行うケースもあります。一般人には所有することが難しいような高級車若しくは希少車を運転することもあり、車が好きな方には魅力のひとつかと思います。
魅力③ 名義変更に必要な重要書類を扱うことで知識を養うことができる。
車の買取時には名義変更を行うための重要書類が必要となります。一般的なケースとしては印鑑証明書や住民票などになります。
車の名義変更のケースは様々なものがあり、登記簿謄本や戸籍謄本、遺産分割協議書など一般的に馴染みのない書類が必要なケースもあります。
それらの書類に精通することは単に仕事だけではなく、日常生活の中でも役立つことがあり、職務上の魅力のひとつかと思います。
②販売営業部門の魅力
在庫である車両を販売する部門になります。一般的には展示車両と言って店舗に展示している車両を、店舗に来店されたお客様に対して販売する営業です。
近年は在庫を置かず、ネットの画像のみで販売する所も多くなってきています。ディーラーのように特定の地域を飛び込み訪問するというような営業はほとんどありません。
販売営業部門の魅力は大きく下記の2つです。
魅力① お客様のニーズに合わせた幅広い提案ができる
中古車販売は通常様々なメーカーを扱っているため、ディーラーのよう特定のメーカーの車種だけではなく、多種多様な車両を提案することができます。
お客様が特定の車種に絞って購入を検討しているケースでも、販売の営業次第で、当初の希望と異なる車種をニーズに合わせて販売することも多くあります。優秀な営業マンほど、その傾向が強く、営業の魅力といえると思います。
また、中古車販売時には任意保険やオートローンの提案をすることも多く、自然と保険やローンについての知識も付き、営業の幅が広がるとともに日常生活でも役に立つことが多いです。
魅力② お客様と長い期間に渡り関係を築くことができる
車の販売は、販売して終わりということはなく、アフターフォローが重要となってきます。日本の車検制度により、2年に1度は法定点検を受けなければならず、車検毎のフォローも重要であり、長くに渡って関係を構築することができます。
また、大都市圏以外では車は生活必需品であり、一家で数台所有される家族が多いです。よって、信頼関係を築くことができれば、家族全体と長くに渡って取引を継続できることが多く、そのお客様からの紹介で取引が拡大することもあります。
車の営業は紹介で繋がっていくことが多く、営業の魅力のひとつです。
③整備部門の魅力
車の整備を行う部門です。営業が販売した車を納車するための整備と、納車した後の定期的若しくは突発的な整備が主な業務です。販売していないお客様でも車検の整備や定期整備の業務あります。主な魅力は下記2つです。
魅力① 国産車、輸入車問わず様々なメーカーの車を整備できる
新車ディーラーと異なり、特定のメーカーのみならず様々なメーカーの車種が対象となり、技術力が身に付きます。買い取った車両は多種多様であり、高額車両から旧車などの整備を行う中で専門的な技術が身に付きます。
一般修理の中では、故障した箇所を修理することで感謝されることが多いです。車が生活必需品な方にとって車が故障することは、日常生活に支障をきたすため、適切な修理を行うことでお客様に感謝されることが多く、魅力のひとつです。
魅力② 国家資格を取得できる
業務を行う中で国家資格である整備士の資格を取得できることがあります。
整備工場によっては、有資格者を一定人数以上在籍させなければならないという法的義務があるため、経験を積む中で会社が資格取得を援助することがあります。
資格を保有していれば、転職での強みともなりえます。
中古車業界の待遇
中古車業界の待遇はどのようなものなのでしょうか。給与体系と勤務時間という2つの点について解説します。
①中古車業界の給与体系
自動車は単価が高く台数をこなすと大きな利益もついてくるため、営業成績が良い営業マンは給与が高いという魅力があります。ほとんどの会社でインセンティブ制度を取っており、獲得した利益に対して歩合が支払われます。単純に台数をどの程度こなしたかで決まるインセンティブ体系の会社もあります。
トップ営業マンでは年収1,000万円を超える会社もあります。基本給としては250~450万円であり、そこからインセンティブが増額される会社が多いようです。入社間もない若い人でも成果を出せば、多額の報酬が支払われます。
インセンティブ体系は各社によって様々ですが、他業界に比べて基本給よりもインセンティブの割合が高いです。ですので、数字が良い営業マンは給与が高い反面、数字が出せない営業マンは給与が低くなります。いい意味では実力主義の面が強いと言えます。
業界の中で給与水準が高いと言われているのはビッグモーターとネクステージです。20代の若手社員でも年間800万円を超える高収入を得ている方もいます。
ビッグモーターは初任給も約25万円(2020年4月実績 大学卒・大学院卒)と高めで、販売買取スタッフの平均年収は650万円以上ということで他業界を含めても高いです。
近年急成長をとげているネクステージでは、全従業員の平均年収が517万円と同業他社に比べて高めです。営業の年収はさらに高く、トップ営業マンはインセンティブだけで約100万円の支給実績もあります。
ネクステージの年収や待遇について詳しくは、下記記事にまとめていますので参考にしてみてください。
整備部門はインセンティブはほぼないですが、店舗が予算達成したら一定の報奨金が支払われるという所もあります。ただ、営業に比べて額も少ないため、基本給の割合が高いです。
ちなみに、業界に15年所属した筆者が会社を退職する直前の年収は約650万円でした。入社してからの年収推移は下記記事に掲載していますので、よろしければ参考にしてみてください。
②中古車業界の勤務時間
だいたいの会社で基本勤務時間は8時間ですが、営業部門であれば残業はあります。特に買取部門では、お客様の都合に合わせるため、夜遅くなることもあります。
近年は労働基準監督署の指導も厳しく、改善されてきましたが、残業が長時間に渡ることもありました。2交代制を敷いている会社もあり、夜が遅くなる場合は出社時間も遅くして全体として勤務時間を抑えていいます。
販売部門は店舗が営業している時間内で業務を行うという会社が多く、買取部門に比べると残業が少ない傾向にあるようです。
整備部門は時期により偏りがあることが多いです。車の流通が活発化する年度末などは極めて忙しくなり残業も増えますが、その他の時期は比較的少ない所が多いようです。
新しいサービスの取入れが各社発展のカギ
自動車業界は刻々と変化しています。カーシェアリングの普及や、今後見込まれる自動運転の普及により大きく業界が変化すると見らています。
そのような変化に備え、各社Iotの活用や新たなサービスを模索しています。業界大手のガリバーでは特にIotを意識し、投資を進めています。
中古車業界といえども車の売り買いのみならず、各社新しいサービスを模索しており、新しいことにチャレンジできる業界といえると思います。
最後に
中古車の流通量は減少傾向にありますが、今後新たなサービスにより業界が発展する見込みも大きく、有望な業界と捉えることもできます。
また、営業職では成果に見合った報酬体系が整えられている会社が多く、自分の力を試したいという熱い思いがある方にはお勧めできるかと思います。
車が好きでない方も人と接することが好きな方であれば、営業で数字を上げるのは可能です。筆者の所属していた会社でもトップ営業マンは車が好きでなく、興味も薄い人でした。
中古車業界で営業をする中では、年齢問わず様々な方と出会え、また企業のトップと1対1で商談ができるなど、他業界にはない魅力もあります。
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