車の売却(買取)を業者にお願いした場合に、保険の手続きはどうすればよいのでしょうか。
車の任意保険と自賠責保険で手続き方法が異なります。特に任意保険は手続きを行わないと、無駄に費用が発生する可能性もあるので注意が必要です。
また、車を手放した後、再度車を持つ可能性があるのに解約してしまうと、次に保険へ加入する時は6等級からのスタートとなります。20等級まで進めていた場合、元に戻すまで14年掛かります。
これを防ぐのが中断手続きですが、申請できる期間が決まっており、過ぎると対応してもらえません。
一方、自賠責保険の手続きは通常は買取店で行ってくれますが、車を廃車をする時には自分で手続きを行うことで、保険金が返ってくるケースもあります。
本日は車の売却(買取)、乗り換え、廃車のケース毎にどんな手続きが必要なのかをみていきます。
手続きは車の使い道によって変わる
車を手放す時の保険手続きは、乗り換えるのか、売却するのみなのか、廃車にするのかによって変わります。
下記の表をご覧ください。
| 任意保険 | 自賠責保険 | |
|---|---|---|
| ①乗り換え | 車両入替 (販売店が手続き) |
名義変更 (販売店が手続き) |
| ②売却のみ | 解約または中断 (自分で手続き) |
名義変更 (買取店が手続き) |
| ③廃車 | 解約または中断 (自分で手続き) |
解約 (自分で手続き・返金あり) |
自賠責保険は個々の車に掛けられている保険のため、廃車以外は次の所有者に引き継がれます。よって業者に任せておいて問題ありません。
一方で任意保険は契約者に紐づく保険です。車が無くなっても契約だけが残るため、解約や中断の手続きをしないと保険料が発生し続けます。
それぞれのケースごとにみています。
ケース① 乗り換える場合
加入している任意保険をそのまま新しい車に引き継ぐ場合は、新しい車を購入する販売店で手続きを行ってくれます。
この手続きは車両入替と呼ばれ、新しい車の車検証コピーを保険会社に提出するのみですので簡単です。等級もそのまま引き継がれます。
一方、乗り換えをきっかけに任意保険を見直すこともできます。
新しい車を購入する販売店でも見直しを行ってくれますが、自分で任意保険を変更することもできます。
近年は販売店が取り扱う対面型の保険よりも、ネットで申し込みができる「ダイレクト系自動車保険」のほうが保険料が安価であり、保険の切り替えを行うことで保険料が大きく安くなるケースもあります。
車が変わるタイミングは、どのみち手続きが発生します。見直すのであれば、この機会が最も手間が少なくて済みます。
ネットで複数の保険会社から簡単に見積もりを取れるため、保険の見直しを検討されている方は試してみてはどうでしょうか。
中古車販売店や新車ディーラーで取り扱う「代理店系自動車保険」と「ダイレクト系自動車保険」の違いと特徴は、下記記事にまとめていますので参考にしてください。
自賠責保険については、売却した車を次に所有する方が名義を変えて保険を引き継ぎます。
名義変更は車を買い取った業者(もしくは次に販売する業者)が行うため、自分で手続きを行う必要はありません。書類に認印を押すのみとなります。
ケース② 売却のみの場合
車を業者に売却するのみという場合は、任意保険の手続きは自ら行う必要があります。
乗り換えと違い、売却のみの場合は業者のほうで任意保険の手続きは原則やりません。
車が無くなるため解約の手続きが必要となります。車を売っても任意保険の解約をしなければ保険料は発生し続けてしまいます。
保険料を年払いで払っている場合は、残存月数により保険料が戻ってきます。
車を一時的に手放すけれども、また購入する可能性があるという場合は、解約ではなく中断の手続きを取ったほうが良いです。
中断手続きを取ることで、再度車を購入し保険に加入する時に中断時の等級を引き継げます。もちろん、車に乗らない期間は保険料が掛かりません。
この中断手続きについては重要ですので、次の項で詳しく解説いたします。
なお自賠責保険は乗り換えの場合と同様に、買い取った業者が名義変更の手続きを行いますので、自分で行う手続きはありません。
中断証明書は必ず取っておいたほうが良い
中断証明書とは、車を手放して保険を一時的にやめる時に、その時点の等級を保存しておける制度です。
これを取らずに解約してしまうと、次に車を買った時は6等級からのスタートとなります。
20等級まで進めていた場合、そこから戻すのに14年掛かります。保険料の差は年数万円単位となり、累計では非常に大きな金額になります。
手続きは加入中の保険会社に連絡するのみで、費用は掛かりません。取らない理由が無い手続きと言えます。
条件① 等級が7等級以上であること
中断証明書を発行できるのは7等級以上の場合です。事故により等級が下がっている、いわゆるデメリット等級(1~5等級)では発行できません。
逆に言えば、少しでも等級が進んでいるのであれば取っておいて損はありません。
条件② 解約日から13ヶ月以内に申請すること
中断証明書には申請できる期間があり、この期間を過ぎると発行してもらえません。等級は消滅し、次は6等級からやり直しとなります。
一般的には解約日もしくは満期日から13ヶ月以内とされていますが、この期間は保険会社によって異なります。5年など長く設定している会社もあれば、より短い会社もあります。
よって「13ヶ月あるから後で手続きすればよい」と考えるのは危険です。ご自身が契約している保険会社の期限を必ず確認してください。
確実なのは、解約や満期終了と同時に中断証明書の発行手続きも済ませてしまうことです。
解約後に後から発行してもらうことも可能ですが、期限の確認が必要になりますし、そもそも手続き自体を忘れてしまいがちです。車を手放すと決めた時点で、保険会社に「解約したいので中断証明書も発行してほしい」と伝えるのが確実です。
条件③ 有効期間は中断日の翌日から10年
発行された中断証明書の有効期間は、中断日の翌日から10年間です。
10年あれば、たいていのライフイベントはカバーできます。転勤、単身赴任、子育ての時期など、一時的に車が不要になる期間を挟んでも等級を守れます。
再開する時は車の取得から1年以内に契約する
中断した保険を再開するには、中断日の翌日から10年以内であることに加えて、車を取得してから1年以内に新契約を結ぶ必要があります。
こちらを見落とすと、せっかくの中断証明書が使えません。車を買ったら1年以内に保険を再開しましょう。
同居家族の車に等級を移すという方法もある
中断証明書を取る以外の選択肢もあります。
車を複数台所有している場合や、同居している家族が車を所有している場合は、その車に今の任意保険を引き継ぐこともできます。
今の任意保険のほうが等級が進んでいる場合は、家族の保険料が安くなるというメリットがあります。
自分が当分車に乗らないのであれば、等級を眠らせておくより家族に移したほうが有効活用できる場合もあります。保険会社に相談してみてください。
ケース③ 廃車にする場合
車を廃車にする場合の任意保険の手続きは、売却のみのケースと同じです。解約の手続きが必要となります。
再度車を保有する可能性がある場合は、中断の手続きを取っておいたほうが良いです。他に車がある場合は、そちらの車に引き継ぐこともできます。
廃車の場合に売却と違うのは、自賠責保険も自分で手続きをする必要があるという点です。
そして車検が残っている場合は、残り期間(1ヶ月以上)に応じて自賠責保険料が返ってきます。
手続きは、自賠責保険証に記載のある保険会社に下記を持ち込むのみです。郵送でも対応可能です。
- 抹消証明書のコピー
- 自賠責保険証(原本)
- 身分証明書
- 認印
抹消証明書のコピーは、廃車を依頼した業者からもらうことができます。
返金金額は自家用乗用車の場合、1ヶ月あたり約700円が目安となります。24ヶ月契約の保険料が17,650円のためです。残り12ヶ月であれば7,000円前後となります。
厳密には月割りではなく保険会社の返戻率表に基づいて計算されるため、単純な割り算よりはやや低くなります。
なお自賠責保険料は2026年11月1日始期の契約から値上げとなります。13年ぶりの改定であり、自家用乗用車の24ヶ月は17,650円から18,560円へ、軽自動車は17,540円から18,660円となります。
廃車の場合は自賠責保険料の他に、自動車税と自動車重量税の還付もあります。合計するとまとまった金額になりますので、下記記事もあわせて参考にしてください。
任意保険の解約は引き渡しが終わってから
「売却したらすぐに解約」と考えがちですが、順序には注意が必要です。
売買契約を結んでも、実際に車を引き渡すまでは自分が運転する可能性があります。また名義変更が完了するまでは、車検証上の所有者は自分のままです。
よって引き渡しが終わってから解約や中断の手続きを行ったほうが良いです。早すぎる解約は無保険状態を生みます。
契約時に引き渡し日と名義変更の完了時期を確認しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
車を売ったら任意保険は自動的に解約されますか?
されません。乗り換え以外は自分で手続きをしないと契約が残り、保険料が引き落とされ続けます。買取店は任意保険には関与しないため、必ず自分で保険会社に連絡をしてください。
中断証明書はいつまでに手続きすればよいですか?
解約日もしくは満期日から13ヶ月以内です。これを過ぎると発行できず、等級は消滅します。保険会社によっては5年以内としている場合もありますが、原則13ヶ月と考えて車を手放したらすぐに手続きをしたほうが良いです。費用は掛かりません。
中断証明書を取らないとどうなりますか?
次に車を買って保険に入る時、6等級からのスタートとなります。20等級から6等級に戻ると元に戻すまで14年掛かり、その間の保険料の差は累計で大きな金額になります。
自賠責保険は自分で手続きが必要ですか?
廃車の場合のみ必要です。乗り換えと売却のみの場合は、買い取った業者が名義変更を行うため、書類に認印を押すのみで済みます。
廃車にすると自賠責保険料はいくら戻りますか?
車検の残り期間が1ヶ月以上あれば戻ります。自家用乗用車で1ヶ月あたり約700円が目安です。自賠責保険証に記載の保険会社に、抹消証明書のコピーと保険証原本を持ち込むか郵送してください。
等級を家族に引き継げますか?
同居している家族であれば引き継げます。自分が当分車に乗らないのであれば、中断証明書を取るより家族の車に移したほうが有効活用できる場合があります。保険会社に相談してみてください。
最後に
車を手放す時の保険手続きは、自賠責保険については廃車以外は業者任せで問題ありません。
一方で任意保険は、乗り換え以外は自分で手続きをしないと誰もやってくれません。
そしてまた車に乗る可能性があるのであれば、解約ではなく中断の手続きを取ったほうが良いです。
保険の手続きは、車を売る作業の中で最も後回しにされがちです。ですが電話1本で済む手続きですので、車を手放したらその日のうちに保険会社へ連絡をしておくことをおすすめします。
乗り換えで保険を見直される方は、複数社の見積もりを比較してから決めたほうが良いです。同じ補償内容でも保険料は会社によって差があります。
中古車を購入する際に販売店から保険を勧められて困っているという方は、下記記事も参考にしてください。


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