ガリバーが運営する個人売買サービス「ガリバーフリマ」とはどんなサービスなのでしょうか?
簡単に言うと、車の個人売買をガリバーが仲介するというサービスです。
車の個人売買の最大のメリットは、売り手は車を高く売れ、買い手は車を安く買える、というものです。
ただ、国内では車の個人売買はあまり普及していません。理由は、代金の支払いや名義変更の際、また納車後の車の不具合等でトラブルになるケースが多いからです。
今回、業界大手のガリバーが仲介することで、メリットもいくつかあるものの、「ガリバーフリマ」はあくまで個人売買の延長線であり、ガリバーが全ての問題を解決してくれる訳ではなく、トラブルになるケースも散見されています。
代金の支払いや名義変更はガリバーが行うことで安全ですが、車両状態は出品者まかせであり、不具合が起こった際はトラブルになることがあります。
サービスの詳細はユーザーにメリットがあるものなのでしょうか?本日は、中古車業界に15年所属した筆者が、ガリバーの個人売買サービス「ガリバーフリマ」について実際の口コミも参考にしつつみていきます。
ガリバーフリマのメリット、デメリットとは?
ガリバーフリマのサービスの主なメリット・デメリットは下記となります。最大のメリットとしては高く売れ、安く買えるというものですが、一方で手数料が高いとか車両情報(状態)が出品者次第でトラブルになることもあるというデメリットが存在します。
メリット② 代金の回収や名義変更の手続きをガリバーが行ってくれる
メリット③ 面倒な出品手続きはガリバーに依頼できる
メリット④ 出品価格の概算をシステムで算出してくれる
メリット⑤ 売れなかった場合はガリバーが買い取ってくれる
デメリット② 車両情報(状態)は出品者次第
デメリット③ 現車確認できない
デメリット④ 売買成立まで時間が掛かることがある
メリット① 売り手は高く売れ買い手は安く買える
中古車の買取価格と販売価格では通常大きな差異があります。100~200万円の価格帯であれば、50万円程度の差異があります。理由は買取価格に買取店やオートオークション、販売店の利益が加算されるためです。
例えば、下記のように買取価格が80万円であれば、買取店利益15万円、オートオークション利益5万円、販売店利益30万円が上乗せされ、販売価格は130万円程度となります。
個人売買では上記のような、間に入る業者の利益(手数料)が大幅に圧縮されるため、売り手は高く、買い手は安く買うことができます。
上記の例で、仮に100万円で売買が成立したとすると、ガリバーに支払う売り手手数料6.9万円と、買い手手数料6.9万円を差し引いても、売り手は93.1万円(100万円-6.9万円)で売れ、買い手は106.9万円(100万円+6.9万円)で買えることになります。(直接取引の場合は手数料半額)
つまり売り手は14万円おトクに、買い手は23.2万円おトクになります。
さらにガリバーフリマは個人売買のため、消費税が発生しないという特徴もあります。車を買う時の消費税は意外と高額であり、馬鹿にならないため買い手としては大きなメリットとなります。
売り手側としては、買取店に売る際も消費税分がプラスで貰えることはなく、特に関係がありません。
メリット⓶ 代金の回収や名義変更の手続きをガリバーが行ってくれる。
個人売買でトラブルになる多くのケースが、代金の回収や名義変更の手続きです。買い手と売り手ともに、きちんと取引がなされるのか不安があります。特に名義変更には印鑑証明書などの重要書類を扱うため個人間のやり取りでは不安が残ります。
その点をガリバーが代行することで名義変更や送金に関するトラブルを防ぐというものです。また、購入時にローンを組むこともサービスとして提供しています。
メリット③ 面倒な出品手続きはガリバーに依頼できる。
自分の車を出品する(ネット上にアップする)手続きは、ネット上や専用アプリから行う必要がありますが、ガリバーに依頼することも可能です。
ガリバーの店舗で査定を受けると、画像のアップや詳細情報の入力をガリバーが全て行ってくれるため、負担がありません。もちろん手数料は無料です。
メリット④ 出品価格の概算をシステムで算出してくれる
売り手が出品価格をいくらに設定するかということは非常に重要であり、難しいものです。実はガリバーフリマの中にある【相場ナビ】というシステムで中古車市場の相場情報を教えてくれます。それを基に、出品価格を設定することで、買い手と売り手双方にメリットのある価格設定が可能です。
メリット⑤ 売れなかった場合は、ガリバーが買い取ってくれる。
一定期間出品して売れなかった場合はガリバーが買い取ってくれます。ガリバーの店舗で査定を受けると、買取保証金額を提示してもらえます。
ただし、当然ながら出品時の金額よりは下がってしまいます。納得できない場合は、売らなくても大丈夫です。
デメリット① 手数料が高め
個人売買が成約となった場合には売り手、買い手ともにガリバーへの手数料が発生します。具体的な金額は下記表のとおりとなり、100万円超で7%の手数料となり、金額としては高めな印象です。
名義変更や引き渡しについてガリバーを介さない「直接取引」の場合は、手数料が半額となります。
買い手にはこの手数料に加えて、名義変更手数料等が発生するため、出品価格より15~25万円が加算されることが多いようです。
◆売り手手数料
◆買い手手数料
出品時にはこの手数料を計算に入れた値付けが必要です。買い手がつかないからといって出品価格を下げ過ぎると、通常の買取相場と変わらなくなってしまう可能性もあります。
購入時には、各種税金や車検費用が発生する場合もありますので、細かい諸費用を含めて購入を検討する必要があります。
デメリット② 出品車両情報(状態)は出品者次第
出品車両の詳細情報が出品者が責任を負うとされています。(ガリバーフリマ利用規約第23条:出品車両の義務より)
そのため、アプリやサイト上から出品した場合で、内容に間違いがあると、出品者の責任になります。車の年式や走行距離の記載間違いは金額に直結するため注意が必要です。
出品時の間違いなどを防ぎたい方は、ガリバー店舗で出品してもらうことをおすすめします。ガリバーに出品を代行してもらえば間違いはありません。
一方、車両状態については、ガリバーが細かくチェックすることはなく、ガリバーの確認を経ていたとしても、納車後の不具合についてガリバーが全責任を負う訳ではありません。
ガリバーが確認するのは、「走行距離」と「修復歴」のみであり、車両状態を保証するものではないとされています。
よって、車両に不具合があった際には、出品者に責任が及ぶことがあります。
ガリバーを介さない「直接取引」の場合は、車両不具合も含めて、完全に当事者間同士での話し合いになるため、一層の注意が必要です。
デメリット③ 現車確認できない
ガリバーフリマに出品されている車両は基本的に現車確認できません。
現車確認可能な車両も一部ありますが数が少ないです。
気になる箇所はガリバーに問い合わせることも可能ですが、ゆっくり現車を見ながら検討したいという方には不向きなサービスです。
デメリット④ 売買成立まで時間が掛かることがある
ガリバーフリマの検索ページで出品台数を検索すると現時点(2021年1月)現在では約10,000台となっています。サービスイン当時約2,000台でしたので、出品台数は大きく増加しています。
ただ、この出品台数をもってしても、買い手が欲しい車を探した時に、ぴったりの車が見つかる訳ではありません。
そのため、出品してもなかなか買い手がつかず売買成立まで時間が掛かることがあります。
50,000台位の出品数になると、より活性化すると思います。
購入時の支払いはクレジットカード払いやローンを組むこともできる
ガリバーフリマで車を買う時の支払いはなんとクレジットカードでも可能です。個人売買では現金一括で支払うことが通常ですが、クレジットカードが使えることで非常に便利です。ネット上で決済ができ手続きもスムーズです。
また、現金やクレジットカードはちょっと・・という方向けに、オートローンも選択できます。気になる金利は5.9%~11.9%(アプラス)と、ディーラーや中古車購入時のオートローンとほぼ同等です。一般の中古車販売店の金利は7~9%前後です。銀行や信用金庫などと比べると高めです。
ただし、オートローンを利用する場合にはガリバーが売り主となるため、消費税が発生してしまい、個人売買のメリットが薄くなります。
直接取引は避けたほうが無難
ガリバーフリマでは、名義変更や引き渡しをガリバーが仲介しない「直接取引」という形態を取ることもできます。
その場合、ガリバーは代金の受け渡しや情報の伝達のみを仲介することになり、名義変更や引き渡しは当事者間でのやり取りとなります。
ただ、個人売買は昔から名義変更や納車後の不具合でトラブルになることが多く、直接取引はおすすめできません。
直接取引にすると手数料が安くなるというメリットがあるものの、名義変更には印鑑証明書などの重要書類が必要なこともあり、安心度という面を考えると避けたほうが無難かと思います。
ガリバーフリマの保証は?
ガリバーフリマで購入時の保証は下記2種類あります。ちなみに、直接取引の場合は保証の対象になりません。
保証① あんしん90日保証(無償)
90日の保証が無償でつきます。ただし、以下の条件があります。
・初年度登録から15年未満、走行距離15万km以内、車両価格30万円以上の国産車のみ
・抹消登録、車検切れは対象外
・引渡し支援サービスを利用している
・上限30万円まで
・納車時走行距離からプラス3,000キロまで
こちらの保証で対象となるのは、「走る、曲がる、止まる」に関する重要機構のみとなり、電装系などの部品は対象となりません。
保証② あんぜん3カ月保証(有償)
あんぜん3カ月保証は有償となり29,800円の費用が掛かります。以下の条件がありますが、あんしん90日保証ではカバーされない電装系部品もカバーされます。
・年式無制限、国産車、走行距離20万km以下
・車両本体価格の半額まで
ただし、こちらの有償の保証に加入すると、売り主がガリバーとなり、車両本体価格にも消費税が発生し、結果として高額となるためおすすめはできません。
トラブルもある!ガリバーフリマ口コミ5選
口コミ① 無償修理してくれるの?
ガリバーフリマで故障車買わされました。車を買う際には「バッテリーが弱ってる」しか聞いておらず、購入後、引き取りの帰り道で2,500rpm~のエンジン振動がひどく、ターボ付もスピードでず。無償修理は無理でしょうか? Yahoo知恵袋より
筆者の見解
ガリバーの引渡し支援サービスを利用している場合は、無償修理(90日)の対象になるかと思います。その場合、修理費用はガリバーと出品者で負担するとされている(利用規約より)ので、まずはガリバーに相談すれば対応してくれると思います。車両が無償修理対象外の場合や、直接取引での購入の場合は、自己負担での修理もしくは当事者間での話になってしまいます。
口コミ② 個人情報漏れは大丈夫?
ガリバーフリマで個人情報がバレることはないのでしょうか。 ガリバーフリマで車を売りました。 事務局から送られてきたパンフレットには、「個人情報が漏れることはありません。名義変更を 完了させてから納車いたしますので車検証に名前等が残ることはありません。その他整備記録等に関しても個人を特定できる情報は削除しております。」と、記載されていました。 疑問なのは、自賠責の名義変更はしてもらえるみたいですが、ETC車載器の名義変更もしてくれるのでしょうか? そもそも、自動車税の納税証明書を渡しているのだから個人情報は伝わるのではないでしょうか? と言うことです。 変な車を売ったわけではないので、個人情報が特定されて困ることはないと思いますが、どこまで匿名性のある取引なのか気になっています。Yahoo知恵袋より
筆者の見解
名義変更をガリバーがやってくれるからといって、全ての個人情報をガリバーが消去するということは、サービス上でも明記されていません。従って消せるものは売買成立時に出品者が消しておいたほうが良いです。ナビの情報などはガリバーでは消さないと思われます。ETC車載器の名義変更は新所有者の義務となるため、そちらは新所有者次第となります。仰るように納税証明書なども渡すため、完全に秘匿されるということは難しいと思います。
口コミ③ エアコン修理費は出してくれるの?
ガリバーフリマで50万円程で車を購入しました。 納車後1週間経ち、エアコンのコンプレッサーが壊れている事が判明し、修理費代で約20万円との事でした。出品者が修理費を払う事を拒否した場合 、返品する事は可能でしょうか?また、出品時にエアコンの故障についての掲載がされていないのは、納得いかないのですが、その義務は無いのでしょうか?Yahoo知恵袋より
筆者の見解
納車後のエアコン修理代を負担するという定めはサービス上特になく、ガリバーの無償保証(90日)でも、エアコン(電装系)は対象外のため保証修理はできないと思います。また、納車後1週間後ということで、出品者の責任に完全にするとことはできず、返品は難しいかと思います。まずは、ガリバーに相談したほうが良いと思いますが、あくまでガリバーフリマは個人売買の延長線であり、購入者負担となる可能性が高いと思います。
口コミ④ オイル漏れの責任はガリバーにないの?
ガリバーフリマで購入した車を車検に出したらオイルもれがあるとの事で修理。 これってガリバーに責任はないんですか❓ 購入した時の説明には一言も説明がありませんでした。Yahoo知恵袋より
筆者の見解
ガリバーが出品車両を確認するポイントは「走行距離」と「修復歴」のみであり、その他は確認しません。さらに、ガリバーは車両状態に責任を負わないとされています。そのため、オイル漏れの責任をガリバーに問うのは難しいです。ただし、購入後まもなく無償保証の範囲内であれば、修理してもらえるはずです。
口コミ⑤ ガリバーフリマをめちゃくちゃ勧められる理由は何?
ガリバーの店員さんにガリバーフリマを勧められるのですがガリバーフリマをすることで店側のメリットはなんですかね?
下取り査定で110万つけていただいたんですけどガリバーフリマをめちゃくちゃ勧められるので気になりました。
フリマを登録したらスタッフ側になにか収益とかあるんですかね?
やたらと推されるので店側に相当な利益があるのかなと疑問に思いまして。Yahoo知恵袋より
筆者の見解
ガリバーがガリバーフリマへの出品を勧める理由のひとつとして、普通に買取するよりもガリバーフリマで売れたほうが収益が大きいということがあります。100万円クラスの車が成約になると、売り手と買い手の手数料約14万円に加えて販売時の手数料収益もあります。しかもガリバーはあくまで仲介するのみであり、販売店での販売時よりもリスクが低いです。また、ガリバーフリマの取引活性化のために出品台数をもっと増やしたいということもあります。現状の1万台前後ではまだまだ少ないと考えているはずです。よって、各販売店には出品台数目標があり、それを達成するために強く勧められることがあると思われます。
同じようなサービスが無かった理由は?
車の個人売買は昔からある手法でしたが、ガリバーフリマのようなサービスは何故存在しなかったのでしょうか?理由は大きく2つあります。
①出品車両を多く集めることができない
個人売買で車を売りたい人を多く集めることは意外と難しいです。一般の人はイメージの悪い個人売買で車を売ろうとは思いません。出品車両が集まらないと、サービスとして成立しません。
⓶個人売買が普及すると中古車業者の買取や販売での売上が減少する懸念がある
ほとんどの中古車買取業者は車を買い取って、オークションに出品することで利益を得ています。中古車販売業者は下取りやオークションから車を仕入れ、販売することにより利益を得ています。販売時の整備や保険は主な収益です。
個人売買が普及すると、今まで買取や販売で収益を上げていた中古車業者の取引が減少し、売上が減少する恐れがあります。
ガリバーは上記の問題を、知名度と規模で出品者を確保するとともに独自の料金体系により収益を獲得することで解消しようとしています。
最後に
ガリバーフリマのサービスは、従来からあった個人売買の懸念事項をガリバーが代行することで、売り手と買い手が安心して取引ができることを強みとしています。個人売買には無い購入時の整備や保証もオプションで付けることができます。
すぐに車を売らなければならないという方には、すぐに買い手が見つかる可能性が低いためお勧めできませんが、いい値段が付けば売ってもいいと思われている方は、出品は無料でリスクは無いため、とりあえず出品しておいてもよいかと思います。
ただ、口コミにもあるように購入後の車両不具合については、クレームに発展する場合があり、極力安心して売りたいという方は、直接買取店に買い取ってもらったほうが良いです。
複数の買取店を比較することで、個人売買ほどの値段には届かないにしても、高く売れる確率は高まります。
買取店を検索、査定依頼する際は、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると、簡単に買取店を絞り込んで依頼できます。
こちらのサイトを利用することで、買取店に足元を見られることもありません。
査定は下記公式サイトから依頼可能です。