
車の売却を代理で頼まれることもありますよね?親戚や知人から頼まれるとか、所有者が海外等の遠方にいるという理由で代理で売却しなければならないケースがあるかと思います。
では、車を代理で売却する際は、どんな手続きが必要なのでしょうか?
結論から言うと、車を本人以外が代理で売却する場合は、通常の売却書類に加えて代理人委任状という書類があれば可能です。代理人委任状とは所有者が車を売買する権利を代理人に委任するという書類です。
本日は、中古車業界に15年所属した筆者が、代理人委任状のフォーマットとともに、具体的な手続きについて解説します。
代理で車を売るケースとは
車の売却を代理で行うというのは、売ろうとしている車の所有者以外の人が、所有者の代わりに車を売るということです。よくあるのが下記の3つのケースです。
②知人に頼まれて、知人名義の車を代理で売る。
③所有者が遠方にいて、代理で売る。
所有者の承諾を得ないで、代理で車を売却してトラブルになることは昔からよくあります。そのため、代理人が売却する場合は、通常の名義変更書類に加えて、所有者が売却を代理人に委任したという証明書類が必須となります。その証明書類が代理人委任状という書類です。
代理人委任状のフォーマット
代理人委任状の具体的なフォーマットは下記となります。
書式が必要な方は以下からダウンロードしてご利用ください。
この書類に必要事項を記入し、委任者(車の所有者)が実印を押す必要があります。実印は印鑑証明書と同じ印影のものとなります。委任者と代理人の署名が同じ筆跡ではNGです。必ず委任者欄は所有者に署名してもらう必要があります。
車を売却する際には、所有者の書類が必ず必要となりますので、登録に必要な委任状や譲渡証に捺印をもらう際にまとめて記入してもらうのが良いでしょう。登録に必要な所有者の書類とは通常以下の4点です。
①車検証
②印鑑証明書
③委任状
④譲渡証
住所変更がある場合や特殊な場合は、過去記事に纏めていますので参考にしてください。
車の所有者がディーラーやローン会社の場合は、使用者から代理人委任状をもらう必要があります。ディーラーやローン会社から代理人委任状をもらう必要はありません。
代理人の必要書類は身分証明書もしくは印鑑証明書
代理人として必要になる書類は、本人確認の書類です。委任されている代理人が本人かどうか確認するためであり、身分証明書のコピーで対応可能です。
ただし、買取店との契約書に実印が必要な場合は、実印を証明する印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書は取得から3か月以内のものとなります。
軽自動車を代理で売却する場合は認印や免許コピーでOKの場合がある
軽自動車を本人以外が売却する場合は、普通車より手続きが簡素にできる場合があります。なぜなら、軽自動車の売却には印鑑証明書が不要なため、代理人委任状の印鑑は認印でOKとするところが多いです。ただし、追加書類として所有者の免許コピーを要求される場合があります。
軽自動車の売却に必要な書類は通常下記2点です。
①軽自動車検査証(車検証)
②申請依頼書(所有者の認印を捺印)
軽自動車を代理で売却する場合の必要書類は、買取店によって異なるため確認しておくのが無難です。
所有者が海外にいる場合の代理手続き
所有者が転勤などで海外にいる場合に、車を代理で売却するケースは多いです。その場合も名義変更書類と代理人委任状があれば大丈夫です。ただし、海外転勤などで国内から住民票を抜いている場合は、印鑑証明書が取得できません。印鑑証明書の代わりに現地の大使館で取得できるサイン証明が必要となります。
大使館にもよりますが、名義変更書類の委任状、譲渡証を持ち込みその場でサインをすれば、そのサインを証明する書面を発行してくれます。それがサイン証明です。代理人委任状にはサイン証明に記載のあるサインを記入することでOKです。
亡くなった方の車を売却するには?
亡くなった親御さんや親せきの方の車を売却するには、相続手続きの書類が必要です。相続手続きに関する書類を一式そろえて、買取店に提出することで売却が可能となります。
所有者が亡くなられている車の売却書類は通常下記
①遺産分割協議書(相続人全員の合意が必要、認印で可)
②戸籍謄本(被相続人との関係を証明)
③相続人の印鑑証明書と実印
④車検証
⑤委任状(相続人の実印を捺印)
⑥譲渡証(相続人の実印を捺印)新所有者(相続人)の住民票または印鑑証明書
所有者が亡くなられている車の売却について詳しくは下記記事にまとめていますので、参考にしてください。
契約や振り込み口座も代理人でOK
代理人委任状があれば、代理人として業者と売買契約を結ぶことができます。契約上の責任は代理人が負うこととなり、契約代金も代理人に振り込まれます。代理人委任状があれば、所有者が車を売る場合と同様に売買契約が可能です。
代理で車を売却する際のよくある質問(FAQ)
Q. 代理人委任状だけあれば代理で車を売れますか?
A. 代理人委任状は必須ですが、ほかにも印鑑証明や譲渡証などが必要です。
Q. 代理人委任状の有効期限はありますか?
A. 法的にはありませんが、発行から3ヶ月以内が望ましいとされています。
Q. 海外にいる所有者からサイン証明はどこでもらえますか?
A. 現地の日本大使館にて本人がサインし、その場でサイン証明書を発行してもらえます。
Q. 所有権がついていてローンが残っている車でも代理で売れますか?
A. ローンが残っている車でも代理で売却できますが、ローン残債は支払う必要があります。
車を代理でより高く売る方法は?
車を代理でより高く売るためには、現在勢いがあり年間買取台数が25.4万台(2024年11月期)と国内トップの「ネクステージ」を含めた複数買取店を比較することをおすすめします。
ネクステージは自社の大型販売店での販売好調により、在庫車両の仕入れを強化しており、自社で再販向きの高年式や走行距離が少ない車は積極的に高値を提示します。一方で、低年式や走行距離が多いという再販が難しい車には積極的に高値を提示してこないため、そのような場合は、オークション販売に強い「ユーポス」や「ラビット」を含めて比較することをおすすめします。
複数の買取店に査定を依頼する際は、下記カーセンサーネットを利用すると買取店を簡単に絞り込んで依頼できます。査定は下記公式サイト依頼可能です。
複数の買取店を比較するのは労力がかかるし、面倒という場合は下記公式サイトより「ネクステージ」1社に依頼することも可能です。
最後に
車を代理で売る場合は買取店からかなり警戒されます。なぜなら、所有者とトラブルを発生させたくないからです。親の車を勝手に売却するとか別れた旦那(嫁)の車を勝手に売るなどというケースも中にはあり、買取店がトラブルに巻き込まれることもあります。
また、代理人には決裁権が無いと思われ、買取店から相手にされず適当な相場だけを伝えられるというケースもあります。
所有者の代理で車を売る場合は、書類をしっかりと揃えていることを伝え、所有者の承諾を得ていることを買取店に伝えることが重要です。そうすることで、業者も安心しスムーズに手続きが進みます。