中古車を購入する際、販売店から任意保険(自動車保険)を強く勧められた経験がある方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、販売店で任意保険に加入する義務はなく、断ることができます。
ただし「断りにくい雰囲気にされる」「保険に入らないと売らないような営業をされた」という声があるのも事実です。
本日は販売店の保険営業の実態と、損をしない保険の選び方・手続きについて、中古車業界に15年所属した筆者が解説いたします。
なぜ販売店は任意保険をしつこく勧めてくるのか
理由はシンプルで、任意保険の販売は販売店にとって大きな収益源だからです。
中古車・新車販売店は自動車保険の代理店を兼ねており、保険を契約させるごとに保険会社から代理店手数料が入ります。
この代理店手数料は保険料の15~20%程度とかなりの高額です。
車両本体の利益が薄い場合も、保険・コーティング・有償保証などのオプションで収益を補う構造になっています。
店舗によっては販売スタッフに保険獲得のノルマが課されており、達成できないと評価に影響することもあります。
ウィーカーズ(旧ビッグモーター)の保険問題が示すもの
2023年に大きく報道されたビッグモーター(現ウィーカーズ)の保険をめぐる問題では、保険獲得のノルマを達成できなかった店長に罰金を支払わせていたという内容が明らかになりました。
これは極端なケースですが、販売店が保険営業に強いプレッシャーをかけているという業界の構造的な問題を象徴しています。
筆者が在籍していた時代も、保険の販売件数は営業評価の重要な指標のひとつでした。
任意保険は断れる?断ったら購入できない?
断っても購入できます。任意保険は文字どおり「任意」であり、強制加入ではありません。
ただし、まれに「保険に入らないと納車できない」と言う販売店もあります。これは事実ではありません。
そのような強制は認められませんので、強硬な場合は別の販売店を検討することも選択肢のひとつです。
断る際は、下記のように具体的に伝えると効果的です。
- 「すでに加入している保険の車両変更手続きをします」
- 「ダイレクト系の保険で自分で手続きします」
断り文句を準備しておくだけで、しつこい営業を受けずに済むことがほとんどです。
車の買い替え時の保険手続き|3つの選択肢
① 今の保険をそのまま継続(車両入れ替え手続き)
最もシンプルな方法です。今加入している保険会社に連絡し、対象車両を新しい車に変更するのみとなります。
- 保険等級(ノンフリート等級)はそのまま引き継ぎ
- 次の車の車検証(名義変更後)を保険会社へ提出するだけ
- 手続きは販売店が代行してくれるケースも多い
車種によって保険料が若干変わりますが、排気量が大きく変わらなければ大きな変動はありません。
② 保険会社を切り替える(ダイレクト系へ乗り換え)
車の買い替えは、保険の見直しの絶好のタイミングです。
現在、代理店系の保険(販売店経由で加入する保険)に入っている方は、ダイレクト系に切り替えるだけで保険料が年間数万円安くなることも珍しくありません。
| 種類 | 特徴 | 保険料 |
|---|---|---|
| ダイレクト系 (ソニー損保・アクサダイレクト等) |
ネットで完結 | 安め |
| 代理店系 (販売店経由) |
担当者が手続き代行 | 高め |
ダイレクト系が安い理由は、先に述べた代理店手数料が不要なためです。補償内容が同等でも保険料に大きな差が出ます。
切り替え時の注意点は下記のとおりです。
- 等級はそのまま他社へ引き継げる(等級が下がるデメリットはない)
- 新しい車の車検証(名義変更後)が必要
- 切り替えのタイミングは現在の保険の更新時期に合わせるとスムーズ
一括見積もりサービスを使えば、複数のダイレクト系保険会社の保険料を一度に比較できます。
現在の保険証券を手元に置いて各項目を入力すると、30分以内に各社の見積もりが届きます。
③ 販売店で保険に入り直す
販売店が手続きをすべて代行してくれるため、手間は最小です。ただし次の点に注意が必要です。
- 代理店系保険になるため保険料が高め
- 車両保険が必要ないのに勧められる、特約を過剰につけられるケースがある
- 現在の保険との比較をしないまま契約すると損をする可能性がある
販売店で保険を勧められた場合は、必ず現在の保険証券と見積もりを比較してから決断したほうが良いです。
筆者が実際にダイレクト系に切り替えた経験
筆者自身も車の買い替えをきっかけに、代理店系の「あいおい損保」からダイレクト系の「アクサダイレクト」に切り替えました。
手順は次のとおりです。
- 一括見積もりサービスで新しい車の情報・申込者情報を入力
- 30分以内に各社からメールで見積もりが届く(電話連絡なし)
- 各社の見積もりを一覧で比較し、内容・価格を確認
- アクサダイレクトのサイト上で申し込み・クレジット払い設定
- 新しい車の車検証コピーを送付して完了
注意したのは、各社で特約の有無が異なる点です。
最安値のプランに弁護士費用特約がついていないケースがあり、内容を確認したうえで選択しました。
ファミリーバイク特約などの良く付帯するオプションも保険会社によって金額に差異があるため、そちらはしっかり確認することをおすすめします。
切り替え後、保険料は年間で3万円程度安くなり、満足しています。
自賠責保険の手続きは別途必要
任意保険(自動車保険)とは別に、自賠責保険(強制加入)の手続きもあります。
- 今の車を廃車にする場合は、自賠責保険の残期間分の保険料が返金される
- 次の車への自賠責保険の加入は、通常は販売店が手続きを代行する
詳しい手続きは下記記事にまとめていますので、参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
販売店で保険に入らないと購入できないと言われました。本当に断れますか?
断れます。任意保険への加入は法律上の義務ではなく、販売店が強制することはできません。
「すでに加入している保険で車両入れ替えをします」と明確に伝えることで、ほとんどの場合は引き下がります。それでも強硬な場合は、その販売店での購入自体を再検討することをおすすめします。
保険会社を変えると今の等級(割引)はどうなりますか?
等級(ノンフリート等級)は他社へそのまま引き継げます。等級が下がるデメリットはありません。
保険会社間には等級情報を確認する仕組みがあるため、契約者が証明書を提出する必要は基本的にありません。現在の保険証券を手元に用意し、契約内容を入力すれば手続きできます。
買い替えのタイミングで保険を切り替えるのは得ですか?
代理店系から切り替える場合、年間で数万円安くなるケースも多く、買い替えのタイミングは最適な見直し時期です。
ただし、現在の保険を中途解約する場合の返戻金のタイミングなど、細かい条件の確認は必要です。まず一括見積もりで現在の保険料との差を確認するのが最初のステップとなります。
ダイレクト系は事故対応が不安という声がありますが実際どうですか?
かつては代理店系のほうが事故対応が手厚いという評判がありました。
近年のダイレクト系は24時間対応のコールセンター整備や示談交渉サービスの充実が進んでおり、代理店系と比べて大きな差はなくなってきています。
車検証はいつ取得できますか?保険の切り替えタイミングは?
新しい車の車検証は名義変更完了後に取得できます。販売店が代行する場合、納車前後に入手できます。
保険の切り替え(または車両入れ替え)は、車検証を入手してから手続きするとスムーズです。
最後に
車の買い替え時の保険手続きは、次の3択となります。
- 今の保険を継続(車両入れ替え)|手間が最小。等級はそのまま
- ダイレクト系に切り替え|保険料が大幅に安くなる可能性あり。買い替えが最良のタイミング
- 販売店で加入し直す|手間は最小だが保険料が高くなりやすい。内容比較が必須
販売店から保険を強く勧められても断ることができます。「すでに加入している保険で車両入れ替えします」と伝えるだけで問題ありません。
現在、代理店系の保険に加入している方は、車の買い替えを機にダイレクト系への切り替えを検討してみてはどうでしょうか。
一括見積もりで現在の保険料との差を確認するのが最初のステップとなります。
保険会社ごとの特徴や保険料の比較は、下記記事にまとめています。
