「BYD」の国内投入第一弾だったSUV型電気自動車「ATTO3(アットスリー)」が2026年10月に大きく刷新されました。
名称も従来の「ATTO3」から「ATTO3 EX」と変更されています。
価格はほぼ据え置きで航続距離(約620キロ)を大きく伸ばしており、軽自動車モデル「RACCO」とともに本格的に攻勢をかけてきた印象です。
「ATTO3 EX」を購入検討時の他社と比較した強みは大きく下記4つです。
強み② 販売総額がわかりやすい
強み③ 納期が短め
強み④ ローン金利が安い
一方、懸念点としては中国メーカーの国内販売実績がほとんどない中で、日本車や欧州車のようなアフターフォローがきちんとされるのかということがあります。
また、国からのCEV補助金が15万円(令和8年度)と競合と比べて低いということがあり、購入検討時でのマイナス要素となっています。
本日は、進化したBYDの「ATTO3 EX」の購入検討時の強みを中心にみていきます。
ATTO 3 EXは従来型から何が変わったのか
2026年10月、BYDはATTO3を大幅に刷新した「ATTO 3EX」を発売しました。従来型との主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 従来のATTO 3 | ATTO3 EX | ATTO3 EX AWD |
|---|---|---|---|
| メーカー希望小売価格(税込) | 440万円 | 437万8,000円 | 487万3,000円 |
| 一充電走行距離(WLTCモード) | 485km | 620km | 550km |
| 駆動方式 | 2WD | 2WD | 4WD |
| バッテリー総電力量 | 58.56kWh | 74.88kWh | 74.88kWh |
| システム総合最高出力 | 150kw | 230kW | 330kW |
| システム総合最大トルク | 310N・m | 380N・m | 560N・m |
| 車両重量 | 1,750kg | 1,880kg | 1,990kg |
| グレード構成 | 1グレードのみ | 2グレード | |
※ATTO 3 EXの数値はBYD Auto Japan公式サイト(2026年10月時点)より
最も大きな変化は、価格をほぼ据え置いたまま航続距離を約28%伸ばした点です。
従来型は485km(カタログ値)でしたが、EXは620km。実用域に換算しても、1回の充電で走れる距離が100km以上伸びた計算になります。にもかかわらず価格は440万円から437万8,000円と、わずかに下がっています。
これはCTB(Cell to Body)という、バッテリーを車体構造の一部として組み込む技術を採用し、74.88kWhという大容量バッテリーを効率よく積めるようになったためです。
輸入EVでモデルチェンジのたびに値上げが続いてきた中で、内容を大きく上げながら価格を据え置いたのは異例です。国内でのシェア獲得を優先した価格設定と見るのが自然で、裏を返せばこの価格が続く保証はありません。検討しているなら、様子見より早めに動くほうが良いです。
「ATTO3 EX」の購入検討時の強み4選
強み① 車両価格が安い
「ATTO3EX」の競合となる最近発売されたSUV型電気自動車3台(トヨタ「bz4x」、日産「アリア」、ヒョンデ「IONIQ5」)と比較すると、「ATTO3EX」の車両価格が437万円と最も安いです。
| メーカー/車名 | BYD | 日産 | トヨタ | ヒョンデ |
|---|---|---|---|---|
| ATTO 3 EX | アリア B6 | bZ4X | IONIQ5 | |
| 車両本体価格(税込) | 437万8,000円 | 539万円 | 600万円 | 479万円 |
| 全長 | 4,455mm | 4,595mm | 4,690mm | 4,635mm |
| 全幅 | 1,875mm | 1,850mm | 1,860mm | 1,890mm |
| 全高 | 1,615mm | 1,655mm | 1,650mm | 1,645mm |
| 一充電走行距離 | 620キロ | 470キロ | 559キロ | 498キロ |
| 最高出力 | 313PS | 218PS | 204PS | 170PS |
| 最大トルク | 380N・m | 300N・m | 266N・m | 350N・m |
| 総電力量 | 74.88kWh | 66kWh | 71.4kWh | 58kWh |
1回の充電で走れる距離は620キロ(カタログ値)で出力も313PSと他車種と比べてそん色ないどころか大きく上回っています。
それでいて、価格は最も安い437万8,000円です。
インテリアについても12.8インチ大型ディスプレイやスポーツシート・シートヒーター等を備え、ハイクラスの仕様となっています。
また、車両価格にナビ・サンルーフ・前方ドライブレコーダー・パワーバックドアなどの各種装備が含まれ、オプションとして追加するものがほぼなく、わかりやすいのが特徴です。
オプションとして追加で選択できるのは、数少なく非常にシンプルとなっています。
車両装備の充実を図りながら価格を抑える戦略でシェアを取りに来ています。
強み② 販売総額がわかりやすい
「ATTO3EX」の販売時の諸費用としては約20万円となります。
諸費用の他に追加できるものはメーカーオプションである「特別色費用(66,000円)」とディーラーオプションとなる「コーティング・タイヤ補償(約25万円)」「前後ドライブレコーダー(約8万円)」くらいであり、販売総額がわかりやすくなっています。
国産メーカーのように多種多様なオプションやメンテナンスパッケージの選択肢はなく、シンプルな価格構成となっています。
営業マンから色々なオプションやメンテナンスサービスを勧められたくないという方には適しています。
強み③ 納期が短め
「ATTO3EX」の納期は1カ月半~2カ月ということで、国産メーカーの半年~1年に比べると短納期です。
注文してから半年や1年なんて待っていられないという需要に対応しています。
BYDとしては安定供給を強みに、早期に幅広いユーザーにアプローチしていく方針です。
強み④ ローン金利が安い
「ATTO3」をローンで購入する際の通常金利は1.9%であり、国産車ディーラーの3~4%と比較して安いです。
仮に400万円を5年(60回払い)でローンを組んだ場合、1.9%と3.9%では下記のように支払利息で約21万円も差が出ます。
通常、輸入車販売においては国内正規ディーラー(販売店)の裁量で金利が上下しますが、BYDでは全国一律1.9%で提供しているとのことです。
残価設定や長期間(7年)のローンにも対応しています。
新設されたAWDグレードは買いか
今回のモデルチェンジで最も大きい追加が、四輪駆動(AWD)グレードの新設です。価格差は約49万円です。
| 項目 | EX(後輪駆動) | EX AWD |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 437万8,000円 | 487万3,000円 |
| 一充電走行距離 | 620km | 550km |
| システム総合最高出力 | 230kW | 330kW |
| システム総合最大トルク | 380N・m | 560N・m |
| 車両重量 | 1,880kg | 1,990kg |
| 車載温冷庫 | なし | あり |
注目すべきは、AWDを選ぶと航続距離が620kmから550kmへ70km短くなる点です。四輪を駆動するぶん電力を使うため当然の結果ではありますが、カタログの「620km」はあくまで後輪駆動グレードの数字です。
約49万円の差額で、AWD・出力100kW増・トルク180N・m増・車載温冷庫が付きます。装備の内容だけ見れば割安です。
ただし雪道を走らないのであれば、後輪駆動で十分です。EVは重いバッテリーを床下に積むため重心が低く、もともと滑りにくい特性があります。AWDを選ぶ判断は「年に何回、雪道や未舗装路を走るか」で決めてください。
なお車載温冷庫はBYDの日本導入モデルで初採用ですが、AWDグレードにしか搭載されません。これ目当てで49万円を出す価値があるかは、冷静に考えたほうがいいところです。
値引きはナシ
「ATTO3EX」の値引きはどこの販売店でもナシとなります。
車両本体をギリギリまで下げた価格にしているため、ワンプライスでの提供としているとのことです。
国内のメーカーのように、オプションを複数付けたからその分〇〇万円値引きするということもありません。
車両の保証は4年(10万キロまで)、バッテリーの保証は8年(15万キロまで)
「ATTO3EX」の車両保証は4年(10万キロまで)となり、国内メーカーの保証と同等の水準となっています。
バッテリーの保証は8年(15万キロまで)となり、日産の8年(16万キロまで)・トヨタの10年(20万キロ)までには若干劣りますが、大きな差が無い内容となっています。
先進運転支援システムも搭載
「ATTO3EX」は同クラスの競合車種と同様に、先進運転支援システムであるナビゲーションパイロットを搭載しています。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシスト(LKA)を組み合わせたシステムで、前後左右方向への運転制御を行えます。
ただし、日産アリアに搭載されるプロパイロット2.0のような車線変更をともなう追い越しや分岐なども含めた制御までには至っていません。
下取(買取)を依頼する場合は複数買取店を比較する
「ATTO3EX」の正規ディーラーは中古車販売大手「ネクステージ」を初めとした地域の有力販売店で構成されています。
そのため、下取(買取)も積極的に行っていますが、より高く売るには複数買取店を比較したほうが良いです。
世界的な半導体不足に伴う新車の納期遅れにより、中古車相場が高騰しており、高年式や走行距離の少ない良質車は特に高値が提示されます。
買取店各社は買取に力を入れていますが、自社での販売好調で勢いがある「ネクステージ」を含めて比較することをおすすめします。
「ネクステージ」は自社での販売好調を受けて買取も好調であり、買取台数は下記グラフのように右肩上がりで、直近(2025年11月期)の年間買取台数は28.3万台とガリバー(16.2万台)やウィーカーズを大きく上回り国内トップです。
◆ネクステージの年間買取台数の推移グラフ
一方で、「ネクステージ」は低年式とか走行距離が多いという在庫として扱いづらい車には積極的に値段を提示してこないため、そのような際は、オークション販売に強い「ユーポス」や「ラビット」と比較することをおすすめします。
複数買取店に査定依頼するには下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると簡単に近隣買取店を絞り込んで依頼することができます。
一括査定は絶対やめたほうがいい!というサイトや動画もありますが、一括査定の短所(営業電話が掛かってくる、談合されるおそれがあるなど)のみを取り上げています。買取店によって評価するポイントが異なり、相場を読む人(値段を付ける人)の感性も異なることから買取店によって査定額が変わるのは当然です。
一括査定には短所もありますが、「買取店を絞り込む」「買取店を同時に呼ばない(談合回避)」「急かされて契約しない(二重契約回避)」に注意すれば大丈夫です。複数買取店を比較することで、高く売れる確率が高まります。
そうは言っても複数買取店を比較するのは面倒だし、営業電話が頻繁にかかってくるのも避けたいという場合は、「ネクステージ」一社に絞る選択もあります。比較による上乗せはないですが、国内トップの実績で安定感があることと、取引もクリーンで減額の心配もありません。
国からの補助金は15万円(東京都は追加で40万円)
「ATTO3」に適用される国の令和8年度分補助金は15万円となっています。さらに地方自治体によっては、追加で補助金が受けられ、東京都であれば40万円が受給可能です。
国からの補助金は15万円と競合他社に比べて低いため、その点については購入検討時のマイナス要素となっています。
補助金には予算があり、予算の上限に達すると補助金が受けられなくなるという注意点もあります。
令和8年度の国の補助金は、令和8年12月に終了する見込みとのことで、補助金を受ける場合には早めの申請が必要となります。
また、購入後4年間は保有しなけらばならないという条件はあります。
最後に
BYDは2023年1月に第一弾モデル「ATTO3」発売し、その後も新型モデルを次々に投入していますが、国内では売れ行きが伸び悩んでいます。
そのような中、2026年7月に軽自動車モデルの「RACCO」の投入により巻き返しを図っており、今回の「ATTO3EX」の発表で更なる拡販を狙ってきています。
正規ディーラーには地域の有力販売店や「ヤナセ」「ネクステージ」などの大手も参画しており、本格的な営業が今後強化されていきそうです。
各地域でのフォロー体制が整備され、車両の信頼性が高いことが口コミで広がれば、業界に一石を投じることができそうです。






