中国の電気自動車大手「BYD」が本格的に日本の乗用車市場に乗り出し、第一弾としてSUV型電気自動車「ATTO3(アットスリー)」 の販売を開始しました。
「BYD」は全世界で展開を加速しており、電気自動車の販売台数はテスラを抜こうかという勢いです。
そして、日本でも攻勢すべく、2025年末までに全国100店舗以上の販売ネットワークを構築するとのことで、大手中古車販売「ネクステージ」等も正規ディーラーとして出店しています。
そんな「BYD」の日本展開第1号である「ATTO3」を購入検討時の他社と比較した強みは大きく下記4つです。
強み② 販売総額がわかりやすい
強み③ 納期が短め
強み④ ローン金利が安い
一方、懸念点としては中国メーカーの国内販売実績がほとんどない中で、日本車や欧州車のようなアフターフォローがきちんとされるのかということがあります。
また、国からのCEV補助金が令和5年3月登録までは65万円だったのが、令和6年4月以降は35万円と大幅に減額されたことは、購入検討時でのマイナス要素となっています。
「ATTO3」は中国で2022年2月販売以降、累計販売台数は20万台以上であり、欧州での安全性評価も高いですが、国内ユーザーの厳しい目線をクリアできるのかというのは正直未知数です。
本日は、BYDが提供する日本展開第1号「ATTO3」の購入検討時の強みを中心にみていきます。
「ATTO3」の購入検討時の強み4選
強み① 車両価格が安い
「ATTO3」の競合となる最近発売されたSUV型電気自動車3台(トヨタ「bz4x」、日産「アリア」、ヒョンデ「IONIQ5」)と比較すると、「ATTO3」の車両価格が440万円と最も安いです。
1回の充電で走れる距離は485キロ(カタログ値、実際は400キロ程度)で出力も204PSと他車種と比べてそん色はありません。
インテリアについても12.8インチ大型ディスプレイやスポーツシート・シートヒーター等を備え、ハイクラスの仕様となっています。
また、「ATTO3」は1グレードのみの構成であり、車両価格にナビ・サンルーフ・前方ドライブレコーダー・パワーバックドアなどの各種装備が含まれ、オプションとして追加するものがなく、わかりやすいのが特徴です。
オプションとして追加で選択できるのは、数少なく非常にシンプルとなっています。
「ATTO3」は後発参入ということで、車両装備の充実を図りながら価格を抑える戦略でシェアを取りに来ています。
強み② 販売総額がわかりやすい
「ATTO3」の販売時の諸費用は下記となり、諸費用としては約20万円となります。
この他に追加できるものはメーカーオプションである「特別色費用(66,000円)」とディーラーオプションとなる「コーティング・タイヤ補償(約25万円)」「前後ドライブレコーダー(約8万円)」くらいであり、販売総額がわかりやすくなっています。
国産メーカーのように多種多様なオプションやメンテナンスパッケージの選択肢はなく、シンプルな価格構成となっています。
営業マンから色々なオプションやメンテナンスサービスを勧められたくないという方には適しています。
強み③ 納期が短め
「ATTO3」の納期は1カ月半~2カ月ということで、国産メーカーの半年~1年に比べると短納期です。
注文してから半年や1年なんて待っていられないという需要に対応しています。
BYDとしては安定供給を強みに、早期に幅広いユーザーにアプローチしていく方針です。
強み④ ローン金利が安い(2024年4月1日~6月30日まではキャンペーンで金利ゼロ!)
「ATTO3」をローンで購入する際の通常金利は1.9%であり、国産車ディーラーの3~4%と比較して安いです。
仮に400万円を5年(60回払い)でローンを組んだ場合、1.9%と3.9%では下記のように支払利息で約21万円も差が出ます。
通常、輸入車販売においては国内正規ディーラー(販売店)の裁量で金利が上下しますが、BYDでは全国一律1.9%で提供しているとのことです。
残価設定や長期間(7年)のローンにも対応しています。
2024年4月1日~6月30日までは「0金利キャンペーンとして」で金利ゼロの特典を打ち出しています。条件としては残価設定型ローンを組むという条件がありますが、約20万円ほどの金利がおトクになるということで、大きなメリットではあります。
値引きはナシ
「ATTO3」の値引きはどこの販売店でもナシとなります。
車両本体をギリギリまで下げた価格にしているため、ワンプライスでの提供としているとのことです。
国内のメーカーのように、オプションを複数付けたからその分〇〇万円値引きするということもありません。
車両の保証は4年(10万キロまで)、バッテリーの保証は8年(15万キロまで)
「ATTO3」の車両保証は4年(10万キロまで)となり、国内メーカーの保証と同等の水準となっています。
バッテリーの保証は8年(15万キロまで)となり、日産の8年(16万キロまで)・トヨタの10年(20万キロ)までには若干劣りますが、大きな差が無い内容となっています。
先進運転支援システムも搭載
「ATTO3」は同クラスの競合車種と同様に、先進運転支援システムであるナビゲーションパイロットを搭載しています。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシスト(LKA)を組み合わせたシステムで、前後左右方向への運転制御を行えます。
ただし、日産アリアに搭載されるプロパイロット2.0のような車線変更をともなう追い越しや分岐なども含めた制御までには至っていません。
下取(買取)を依頼する場合は複数買取店を比較する
「ATTO3」の正規ディーラーは中古車販売大手「ネクステージ」を初めとした地域の有力販売店で構成されています。
そのため、下取(買取)も積極的に行っていますが、より高く売るには複数買取店を比較したほうが良いです。
世界的な半導体不足に伴う新車の納期遅れにより、中古車相場が高騰しており、高年式や走行距離の少ない良質車は特に高値が提示されます。
買取店各社は買取に力を入れていますが、自社での販売好調で勢いがある「ネクステージ」もしくは「ガリバー」を含めて比較することをおすすめします。
「ネクステージ」「ガリバー」は自社販売店の在庫拡充のため、内外装がキレイなどの販売店向きの車は特に高く買い取ります。
一方、低年式・走行距離が多いなどの販売店で売れにくい車は積極的に値段を提示してこないため、そのような場合はオークション販売に強い「ユーポス」もしくは「ラビット」を含めたほうが良いです。
複数買取店を検索、査定依頼する際はリクルート社が運営し実績のある「カーセンサーネット」を利用すると買取店を簡単に絞り込んで依頼できます。査定料や成約料は無料です。
国からの補助金は35万円(東京都は追加で45万円)
「ATTO3」に適用される国の令和6年度分補助金は35万円となっています。さらに地方自治体によっては、追加で補助金が受けられ、東京都であれば45万円が受給可能です。
ただ、令和6年度分補助金は令和5年度補助金からは大きく削減され、競合の国産車は前年同等となったため、その点については購入検討時のマイナス要素となっています。
補助金には予算があり、予算の上限に達すると補助金が受けられなくなるという注意点もあります。
また、購入後4年間は保有しなけらばならないという条件はあります。
最後に
BYDは2023年1月31日のからの「ATTO3」発売以降、日本全国で新規出店を継続し、猛スピードで店舗網を整備しています。
正規ディーラーには地域の有力販売店が多く、本格的な営業が今後強化されていきそうです。
「ATTO3」のエクステリアは元アウディのデザイナー、インテリアは元メルセデスのデザイナーが手掛けているとのことで、欧州車のような雰囲気を持っており、従来の中国メーカーのイメージとは大きく異なっている印象です。
ただ一方で、中国メーカーの乗用車販売の実績が過去にない中で、どこまでシェアを伸ばせるかは未知数です。
各地域でのフォロー体制が整備され、車両の信頼性が高いことが口コミで広がれば、業界に一石を投じることができそうです。