車を売る時(買取時)には自動車税の扱いはどうなるのでしょうか?
既に支払っている分は戻ってくるのかどうか気になるところです。
車を売る時の自動車税の扱われ方は大きく下記3つのケースになります。
ケース② 月割りの1、2か月分を支払うのみ(4、5月に売る場合)
ケース③ 支払った残りの期間分が戻ってくる(買取店と交渉が必要)
ほとんどの場合は「ケース①」となり、支払い済の自動車税は返ってきません。なぜなら自動車税は買取金額に含んで契約することが一般的なためです。
ただし、4月、5月に車を売る時には「ケース②」の、月割り(4月なら1か月分、5月なら2か月分)を支払うのみで良いことがほとんどです。5月に納付書がきたからといって1年分払ってしまうと、買取金額に含まれてしまい戻ってこないためもったいないです。
一方で、「ケース③」のように支払った残りの期間分が戻ってくるケースもあります。
本日は中古車業界に15年所属した筆者が車の買取時における自動車税の扱いについて解説していきます。
車売却時における自動車税の3つの扱われ方
自動車税は年度(4月~翌年3月)で掛かる税金であり毎年4月1日現在の所有者に課税されます。
毎年5月頭頃に納付書が送付され、5月末までに支払う必要があります。(都道府県により若干前後します)
車を買取店に売る時の自動車税の扱われ方は大きく下記3つのケースになります。
ケース① 支払った自動車税は買取金額に含まれ戻ってこない
買取店に車を売る時には、支払った自動車税は買取金額に含まれることが一般的です。買取金額に含まれるということは、年度末(3月まで)の支払った分は戻ってこないということです。
自動車税が買取金額に含まれる2つの理由
理由① 買取店の利益になるため
自動車税の翌年3月までの残り期間分(未経過分と言います)はそのまま買取店の利益となります。なぜなら、買取店が再度販売する時には未経過分の自動車税相当額を購入者から受け取るためです。
買取店の言い分としては、買取金額には未経過自動車税分が入っており、未経過分の自動車税は上乗せしているという理屈です。
しかし、契約の明細には車両代と未経過自動車税相当額という項目に分かれていることはほぼなく、自動車税分が無くても契約金額は変わらないことから、買取店の利益と見るのが妥当です。
これはユーザーにとっては不利と思われることですが、長年の業界慣習であり大手買取店も行っていることです。
理由② 還付金額の計算と手続きが面倒なため
後で述べますが、自動車税は自動で戻されることがあります。ただし、それは抹消登録という手続きを行った場合のみです。その他の場合は、次の所有者(次にその車を買った人)に引き継がれるため、自動で戻されることはありません。
買取店が月割りで自動車税を返すとなると、月割りの金額を計算しないとなりません。そして、その金額を買取金額に上乗せする必要があります。やってできないことはないのですが、自動車税は買取金額に含むという業界慣習からこの方法を取る買取店はほとんどいません。
ケース② 月割りの1、2か月分を支払うのみでOK(4、5月に売る場合)
毎年5月末の納付期限前に売却する場合は、当年度分を支払っていないため、4月であれば1ヶ月分、5月であれば2か月分を支払うのが一般的です。年額(全額)を納付する必要はありません。
買取時には買取金額から1か月分もしくは2か月分を差し引かれます。
そのため、5月末までに車を売却する可能性がある場合は、自動車税の支払いを待つことをおすすめします。
5月初旬に届く自動車税の納付書は、支払わない状態でそのまま買取店に渡せば大丈夫です。
ケース③ 支払った残りの期間分が戻ってくる(買取店と交渉が必要)
自動車税は抹消登録という手続きを取ると、抹消登録をした翌月以降から年度末までの税金分が都道府県税事務所より所有者に戻されます。
実は車検が近いと買取店が抹消登録手続きを行うことが多いのです。そのほうが、すぐ名義変更ができるためです。車検が近いというのは、車検日まで概ね3ヶ月以内といいます。
自動車税を納めてすぐの6月とか7月に車を売る場合は、納めた分の未経過期間が6月の場合は9ヶ月、7月の場合は8ヶ月と長い期間が残ります。その未経過分の金額は小さくありません。
例えば、下記表のように3,000CCの車を6月に売って抹消登録すると38,200円が戻ってきます。
ちなみに、軽自動車は月割りの計算がないため還付がありません。
残月数 | 月割りの還付金額 | |
3,000CC | 2,000CC | |
9ヵ月 | 38,200 | 29,600 |
8ヵ月 | 34,000 | 26,300 |
7ヵ月 | 29,700 | 23,000 |
6ヵ月 | 25,500 | 19,700 |
5ヵ月 | 21,200 | 16,400 |
4ヵ月 | 17,000 | 13,100 |
3ヵ月 | 12,700 | 9,800 |
2ヵ月 | 8,500 | 6,500 |
1ヵ月 | 4,200 | 3,200 |
ここで重要なのは、買取店に対して“車検が近いため抹消登録を行い自動車税を還付してほしい”と交渉することです。通常の名義変更(移転登録)では自動車税は次の所有者に引き継がれてしまいますが、上記のように抹消登録をすると所有者に自動で戻されます。
業界の慣習から、抹消登録したとしても所有者から還付委任状という書類を取得することによって、残り期間分の自動車税を買取店が受け取ってしまいます。そこを交渉することが重要です。
何も交渉しないと、たとえ抹消登録するとしても「ケース①」のように買取金額に含まれてしまうため注意が必要です。
そのような交渉をしなくても、抹消登録する場合は所有者に未経過分の自動車税を返してくれるという良心的な買取店もいますが、大手を含むほとんどの場合、契約金額に含むという説明をされ、戻ってこないことが多いです。
年度末に近い1~3月に売却し、抹消登録をした場合はほとんど返金はありません。3月抹消登録時はゼロ、2月抹消登録時は1カ月分、1月抹消登録時は2カ月分が返金されます。
年度末(3月末)までに契約をすれば次年度分は支払不要
年度末の3月に車を売る場合は、3月末までの契約であれば、車の引き渡しが4月1日以降になったとしても、次年度分の支払いは不要となる(買取店側が負担する)ことが一般的です。
2月や3月に売却すると、名義変更が4月1日以降になることが多いため、次年度の自動車税納付書は5月の頭頃に自宅に届いてしまいますが、支払わずに買取店に渡すことで大丈夫です。全額買取店が支払ってくれます。
次年度の自動車税納付書が届くのは困る!という方は、早めに車を引き渡して3月末までに名義変更を行ってもらう必要があります。
通常、買取店はすぐに名変更は行わず、印鑑証明の期限内(3か月以内)で行いますので、3月末までに名義変更を行う必要がある場合は、前もって伝えて対応してもらう必要があります。
最後に
未経過分の自動車税は買取金額に含むことが一般的な中古車業界の慣習ですが、交渉により返金してくれることもあります。
なぜなら、抹消登録することにより自動で所有者に戻されるという制度があるからです。上記のように、車検が近い車は抹消登録される確率が極めて高いため、交渉により返金してくれることが多いです。
自動車税を納めてすぐ売却する場合は、未経過分の金額が大きいため、返金の交渉をするか若しくは契約金額に上乗せしてもらえるよう交渉しましょう。
実際に交渉する場合は、複数の買取店と交渉することをお勧めします。複数買取店に依頼することで高く売れる確率が上がるとともに、自動車税の扱い方が違う場合があるからです。
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