
中古車業界では「ガリバー」「ビッグモーター」「ネクステージ」が業界を代表する企業でしたが、「ビッグモーター」は不祥事により「ウィーカーズ」として再建途中であるため、直近では「ガリバー」と「ネクステージ」が業界の双璧となっています。
両社は販売台数・買取台数ともに国内トップクラスであり、中古車購入もしくは売却時に両社を比較する方は多いです。
そんな両社を比較する前に知っておくべきポイントとしては大きく下記5つです。
ポイント② 買取はネクステージが有利な傾向
ポイント③ ネクステージは買取時の減額なし
ポイント④ 両社とも輸入車買取に注力
ポイント⑤ ガリバーは自社ローンを提供
「ガリバー」と「ネクステージ」の販売店の特徴としては、「SUV専門店」や「輸入車専門店」というカテゴリ毎に特化した販売店を展開しており、在庫が豊富で選びやすいというメリットがあります。
本日は、中古車業界大手「ガリバー」と「ネクステージ」を比較する前におさえておくべきポイントについて、両社の直近の決算情報も踏まえてみていきます。
ポイント① 両社とも購入時の諸費用・ローン金利は高め(ネクステージは6.9%、ガリバーは9.9%)
ガリバーとネクステージの販売時の特徴として、車両本体価格は安めに設定し、諸費用やオプションなどの付帯サービスで収益を見込むという点があります。
名義変更費用や整備費用、保証料といった諸費用はケーユーなどの他社に比べて高めです。
加えて、ガリバーとネクステージで購入する際に、ローンを組む場合の金利はネクステージは基本6.9%、ガリバーは基本9.9%であり、ディーラーや銀行系の金利に比べて高めです。ただ、こちらは交渉によって下げてもらえる場合もあります。
ローンで購入するとガリバーやネクステージへのキックバックがあるため、営業マンは積極的に勧めてくる場合がありますが、支払総額を抑えるには他社の金利の安いローンを組んだほうが良いです。
また、ネクステージではコーティングを自社開発しており、販売時には積極的に勧められます。
初回の見積もりにはほぼ必ず入っており、付けなければ売ってもらえないと錯覚する方もいるくらい、強く勧められるケースもあるため、不要な場合はしっかりと断る必要があります。
販売好調なネクステージですが、収益を見込むあまり、一部で強引と取られる営業があります。
両社とも、オプションや有償の保証を付けなければ売ってもらえないということはないため、商談の際は必要有無をしっかりと伝えたほうが良いです。
有償の保証についてはガリバーは10年という長期の保証を提供していますが、費用が高額となるため注意が必要です。
両社それぞれの諸費用やローン金利についての詳しい内容は下記記事にまとめていますので、宜しければ参考にしてみてください。
◆ネクステージ
◆ガリバー
ポイント② 買取はネクステージが有利な傾向
規模を拡大するネクステージは、大型販売店での販売好調に伴い、買取強化を継続しています。
店舗に展示できる小売り向きの高年式・走行距離の少ない車は特に高値を提示する傾向にあり、下記表のようにガリバーがほぼ横ばいなのに対し、ネクステージは買取台数を急激に伸ばしています。
※各年決算月末締め数値
ガリバーとネクステージはともに自社で直接販売するために買取を強化していますが、ネクステージのほうが販売好調であり、伴って買取も好調です。
そのため、ガリバーよりもネクステージのほうが競り合った際にも高値を提示する傾向があります。
筆者が実際に所有する車(フリード)を売却した際もガリバーよりネクステージのほうが高値を提示しました。
ただ、一方で、ネクステージがいつでも高いというわけではなく、小売り向けでない低年式・走行距離の多い車、内外装に問題がある車などは積極的に値段を提示してきません。
そのような場合はオークション販売に強い買取店である「ラビット」、「ユーポス」を含めて比較したほうが良いです。
複数買取店を比較することで、買取店同士が競合し、高値が提示されます。
複数買取店を比較するには、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると簡単に買取店を絞り込んで依頼できます。
メールでのやり取りのみも可能で、査定料は無料です。
筆者が実際にネクステージに車を売却した際の詳細等は下記記事にまとめていますので、宜しければ参考にしてみてください。
ポイント③ ネクステージは買取時の減額なし
ネクステージでは車買取時の契約後の減額はしないと公言しています。
契約後の減額とは、査定時に見抜けなかった事故個所(修復歴)や車の不具合により、買取金額が変更される(減らされる)こと言い、ユーザーに取っては受け入れがたいものですが、車買取業界では散見されています。
近年は、業界団体が減額を禁止するよう働きかけるなどして、減少傾向にありますが、「減額しない」と明確に公言している会社は少数です。
そのような減額自体をしないとネクステージが公言していることは、売却するユーザーにとって安心できます。
ポイント④ 両社とも輸入車買取に注力
ガリバーは「LIBERALA」、ネクステージは「ユニバース」という輸入車専門店を各地に展開しています。
そのため、その店舗で直接販売できる車は特に高く買い取ります。
両社とも輸入車販売に力を入れているため、輸入車買取も強化しています。
一方で、輸入車は国産車に比べて、買取相場が読みづらく、各社によって査定額の開きが出ることが多く、高額車両になると50~100万円ていどの開きが出るケースもあります。
少しでも高く売るには、こちらも買取店を比較することをおすすめします。
ポイント⑤ ガリバーは自社ローンを提供
中古車販売店独自の審査で分割払いを受け付けてくれる仕組みを「自社ローン」といいます。
「ネクステージ」「ケーユー」「カーチス」など大手の中古車販売店では「自社ローン」は提供していませんが、ガリバーは「じしゃロン」という店舗名称で「自社ローン」を提供しています。
ガリバーが運営する「じしゃロン」ではガリバー独自の判断で行うため、携帯料金の遅延や他社での借り入れが多いなどの理由で信販会社のローンが通らない方でも、分割支払いでの購入ができるというメリットがあります。
ただし、自社ローンが組めるのは「じしゃロン」店舗で取り扱う在庫(約650台)のみとなるため、ガリバーの全ての在庫車両が対象という訳ではありません。
ガリバーの自社ローン専門店「じしゃロン」については、下記記事にまとめていますので、宜しければ参考にしてみてください。
交渉するのが面倒なら、オークション方式の買取サービスがおすすめ
車を高く売りたいけど複数買取店を交渉するのは面倒・・という場合は、「オークション方式の買取サービス」を利用するという手もあります。
「オークション方式の買取サービス」とは、ユーザーの車に興味がある全国の買取店がネット上のオークションで競り合うことで高く売れるという新しい買取サービスです。
ユーザーは車の査定を受けた後は、ネット上で開催されるオークションを待つのみということで複数の買取店からの営業電話が掛かってこず、交渉が不要という特徴があります。
オークション方式の買取サービスを展開する「ユーカーパック」では、提携する全国の買取店に積極的な入札を呼び掛けており、ハマれば高く売れるとの声があります。
オークションの結果、最低落札価格に到達せず、売買が成立しないという場合もありますが、査定料や落札料などの手数料は無料です。
査定は下記公式サイトから依頼できます。
ユーカーパックについて詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてみてください。
老舗ガリバーに対し、急成長するネクステージ
ガリバーは中古車買取・販売業界を長年引っ張ってきたのに対し、ネクステージは後発ながら、近年、規模を急拡大しています。
全国的な知名度はガリバーのほうが上ですが、下記表のように売上高ではネクステージがガリバーを上回り、ネクステージのほうが会社に勢いがあります。
※2024年のガリバー数値は2025年2月期予想値
両社とも、大型販売店を全国に展開していますが、ビッグモーターのように画一的な店舗ではなく、「SUV専門」、「輸入車専門」といったカテゴリに特化した販売店を展開しており、カテゴリ毎の在庫が豊富であり、色々な在庫を実際に見ながら検討できるというメリットあります。
中古車販売オリコンランキングはネクステージ7位ガリバー8位
直近の中古車販売店オリコンランキングでは下記のようにネクステージは7位、ガリバーは8位となっています。
同サイトの口コミでは下記のような声があります。
【ネクステージの良い点】
・車が多くてきれいでセールスマンもとても親切で感じがよかったし購入した車も満足している。
・店員が明るく店内も雰囲気がよかった。新人の子が説明してくれたが後から店長もきて再度補足してくれた。
・希少車種なのにすぐに見つかり、購入を即決出来たこと。程度が良く、新車や他車種に比べお得に購入できたこと。
【ネクステージの気になる点】
・いずれの中古車チェーン店は、諸経費が高いので知らない人だととても高い諸経費の、見積り金額を提示されます。商売ですから致し方無いですが、知り合いでわからない人には紹介出来ません。
・傷など後で分かった。買った後の見送りスマイルサービス一切なし。やたらオプションを付けてくる。他店の悪口を平気で言う等、数えきれない、あり得なさ過ぎて関わりたくない。
筆者の見解
ネクステージの店舗は新しく、設備が充実しており、広いキッズコーナーがあるなど評判が良いです。また、在庫が豊富で探している車が見つかりやすいというメリットがあります。
一方で、諸費用が高いとかオプションを強く勧められるという注意点があるため、そちらを踏まえて検討することをおすすめします。
【ガリバーの良い点】
・担当の方が若かったのですがこちらの要望によく耳を傾けて提案をしてくださった。トラブルがあったのですが過去マニュアル一辺倒ではなく、臨機応変に対応してくださり安心できた。
・担当の営業の方の接客がわかりやすくよかった。ガリバーフリマを使って以前乗っていた車を下取りに出すより高く売ることができた。
・ガリバーのHUNTという形態の中古車店がイオンモールの店内にあったので、買い物のついでに気に入る中古車を見つけることができた。
【ガリバーの気になる点】
・こちらの予算を話し金額を決めたが一括払いでの希望金額だったのに途中までクレジット途中解約というかたちを勧められた。結局手数料など計算するとその予算オーバーになっていた。
・購入後のアフターサービスが充実しておらず、メンテナンスはタイヤ館やイエローハットでしているのと、購入時のタイヤは粗悪で2ヶ月程で新品に交換した点は残念で改善が必要です。
筆者の見解
ガリバーはガリバーフリマ、ガリバーノレルなど他社にはない独自のサービスを様々展開しています。単純な購入・売却ではくユーザーに合った売り方・乗り方が見つかる可能性があります。また、ショッピングモールの中に店舗を構えるなど、他社との差別化を図っており、買い物ついでに車を検討・アフターフォローが受けられるなどのメリットがあります。
一方で、ガリバーの店舗のほとんどは整備工場を併設していないため、アフターフォローが不十分という声があります。アフターフォローが気になる場合は、「WOW!TOWN」などの整備工場併設店舗での購入を検討することをおすすめします。
最後に
ネクステージは直近の決算でも売上高過去最高を記録し、買取台数・販売台数を伸ばしています。
中でも、買取台数は大きく伸ばしており、年間買取台数は25万台を超えてガリバーの買取台数を大きく上回っています。
一方で、販売時には両社とも諸費用が高めという特徴があり、購入検討時には諸費用の中身をしっかりと確認したほうが良いです。
また、ネクステージの販売時の評判は、諸費用やオプションの売り込みが強引であるという声があります。
もちろん、しっかりとした対応してくれたという声もありますが、大手なだけに期待する対応のハードルが高く、期待通りでなくがっかりしたという声があります。
ネクステージに気になる車があるという場合は、上記のような特徴を踏まえて商談することをおすすめします。