毎月定額の利用料で車を利用できるトヨタのサブスク「KINTO」は、サービスインから約5年が経過し、累計申込者数も10万件を突破しました。
車種ラインナップも拡大し、新型の「ランドクルーザー」や「レクサス」、また一部スバル車も扱うなど、取扱車種も大きく増えています。
「KINTO」はトヨタの新車リースであり、利用料が高いのでは?というイメージもありますが、他社カーリースの利用料と比較すると意外と安価な価格設定となっています。
また、「KINTO」の利用料には、ほとんどの他社カーリースで利用料に含まれない「任意保険料」が含まれ、任意保険料が高額となる若い方や保険等等級が低い方に特にメリットがあり、20~30歳代の若い方からの申し込みが4割以上を占めています。
任意保険料の金額によっては残価設定ローンで購入するより、KINTO利用の方がメリットがより大きくなります。
利用料を含めた「KINTO」のメリットは大きく下記5つです。
メリット② 必要な費用がコミコミの定額払いでラク
メリット③ 任意保険料も利用料に含まれる
メリット④ トヨタディーラーでの点検・整備で安心
メリット⑤ 利用料はクレジットカード払いでOK
一方、「KINTO」のデメリットは大きく下記5つです。
デメリット② 契約終了時には現状回復費を請求される場合がある
デメリット③ 走行距離の制限がある
デメリット④ 車をカスタマイズしにくい
デメリット⑤ 利用できる車種が限られる
「KINTO」では2021年12月から中途解約時に違約金が発生しない「解約金フリープラン」が追加されましたが、利用料5カ月分相当が初期費用として発生するため、選択するメリットは薄いです。
本日は、利用者が徐々に増加してきている「KINTO」のメリット・デメリットについて、中古車業界に15年所属した筆者がみていきます。
KINTOのメリット5つ
近年は「Netflix」や「Hulu」のような毎月定額の利用料を支払うことでサービスを受けられるサブスクリプションモデル(サブスク)が台頭してきており、トヨタのサブスク「KINTO」も徐々に利用者が増加してきています。
「KINTO」は月額定額で契約期間(3年・5年・7年)が決まっており、カーリースと同様の利用形態です。
そんな「KINTO」のメリットは下記5つです。
メリット① 利用料が安め
「KINTO」の月額利用料は、「KINTO」同様の契約期間の他社カーリースの利用料と比べて、安価な価格設定となっています。
一例として、「KINTO」と、個人リースで代表的な「コスモ石油MYカーリース」で、ヤリスクロスとヴォクシーの月額利用料(3年契約)を比較すると、下記のようにヤリスクロスで月額で約20,000円、ヴォクシーで約22,000円「KINTO」のほうが安いです。
※標準色 ナビETC付 コスモ石油マイカーローンはメンテナンスパックゴールドを選択(2023年1月現在料金)KINTOは初期費用フリープラン選択時
5年契約の場合でも、下記例のように「KINTO」のほうが約8~9千円安価となります。
しかも、「KINTO」では、任意保険料が利用料に含まれているのに対し、「コスモ石油MYカーリース」では含まれておらず、任意保険を別途契約する費用と手間が発生します。
また、契約期間の3年で残価設定ローンを利用して購入した場合と、「KINTO」の支払総額を比較すると、「KINTO」のほうが安価となります。
一例として、RAIZE(グレードX”S”)の場合だと総支払額で23万円程度「KINTO」のほうが安いです。
※任意保険料、定期点検整備費用は概算 ローン利息は金利3.9%で試算
ローン金利が3.9%より高い場合や、任意保険料の等級が低く保険料が高額となる場合は、より差が大きくなります。
一方で、ローン金利が極端に安い(1%程度)や任意保険料の等級が高く保険料が安い場合は、差が無くなる若しくは購入のほうが経済的になるケースがあります。
メリット② 必要な費用がコミコミの定額払いでラク
車を維持するには、年ごとの税金、任意保険、定期点検、車検など色々な費用が定期的に発生し、都度対応するのが意外と面倒です。
「KINTO」では、月額利用料に上記のような車を維持する費用が含まれており、定額の費用でわかりやすく、手間がほぼ無いです。
税金の支払いが面倒、とか、車検の対応ってどこに頼めばいいのかわかならい、という声は多く、面倒な手間を省けるのはユーザーにとってありがたいです。
うっかりして税金の支払い忘れ、車検の取り忘れ、任意保険の更新漏れ、などの心配もありません。
KINTOの利用料合計と購入時の支払総額を比較して、総額が同等若しくはKINTOのほうが安いという場合は、手間が少ないという点でKINTOにメリットがあります。
メリット③ 任意保険料も利用料に含まれる
「KINTO」では、事故が起きた時のために強制保険(自賠責保険)以外に任意でつける自動車保険の費用も月額利用料に含まれています。
他社カーリースで任意保険が利用料に含まれていることはほぼありません。
また、「KINTO」で利用料に含まれる任意保険には、対人・対物保険のみならず、車両保険も含まれており、充実した内容となっています。
車両保険が含まれるということは、他社カーリースで自己負担となる車の修理代が保険でまかなえます。
自損事故や当て逃げも対象となり、個人で入る任意保険のように等級が下がることでの負担の心配もありません。
ただし、車両保険は免責5万円となっているため、5万円までの自己負担は発生します。
任意保険の契約は、保険会社ごとに様々なプランがあり内容も複雑なため、利用料に含まれ手間が無いことは、ユーザーのメリットといえます。
また、若い方は保険料率が高く設定されるため、自ら契約すると保険料の負担が大きいです。
車両保険付きは特に高額となります。よって、任意保険料が利用料に含まれるというのは、若い方には特にメリットがあると言えます。
メリット④ トヨタディーラーでの点検・整備で安心
「KINTO」では、トヨタディーラーでの点検・整備費用も月額利用料に含まれています。
ディーラーでの点検・整備費用というと、新車で購入した場合しか利用できないというイメージがあります。
ディーラーで点検を受けたいけれど、費用が高額のイメージがあり、敷居が高い・・・と思われている方は多いです。
実際、ディーラーの点検・整備はメーカーの基準に沿ってしっかりと行ってくれますが、街の整備工場に比べて費用が高いです。
定期的にディーラーでしっかりとした点検・整備を受けられることはユーザーにとって安心できます。
また、ディーラーの整備工場は部品の在庫が豊富であり、消耗部品の交換等が迅速に行えるというメリットもあります。
メリット⑤ 利用料はクレジットカード払いでOK
「KINTO」の支払いはクレジットカードでの支払いとなります。オンライン上で、クレジットカード番号を入力すること支払い手続きが完了し、手間が少ないです。
クレジットカードのポイントも溜まります。
KINTOの利用料等詳細は下記公式サイトで確認できます。
KINTOのデメリット5つ
デメリット① 中途解約時には違約金が発生する(初期費用フリープラン選択時)
「KINTO」の契約期間は3・5・7年から選択できますが、期間内に解約する場合は所定の違約金が発生します。
違約金は経過月数に応じて決められており、3年契約であれば最大で月額利用料5カ月分であり、徐々に減額されていきます。
5年契約の場合は、最大で月額利用料10カ月分、7年契約の場合は、最大で月額利用料15カ月分となります。
一方で、2021年12月からは中途解約時に違約金がかからない「解約金フリープラン」という新プランも誕生しました。
ただ、「解約金フリープラン」では中途解約時の違約金は発生しないものの、利用開始時に初期費用として月額利用料5カ月分相当額が必要となり、利用するメリットはほぼありません。
「解約金フリープラン」について詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてみてください。
デメリット② 契約終了時には現状回復費を請求される場合がある
返却時に修復を必要とするキズや凹みがある場合には、修理費用が請求されます。修理費用は返却時の査定により算出(減点1点あたり1,100円)されます。
例えば、下記例1のようにサッカーボール大程度の凹みがある場合は40点減点で44,000円の請求という感じになります。
※KINTO公式サイトより
ただ、「KINTO」では車両保険に加入しているため、事故を起こした際の大きな損傷は保険で修理が可能です。
そのため、他社カーリースのようにボディが大きく破損している等で、高額(数十万~)の請求がされるということはまずありません。
デメリット③ 走行距離の制限がある
「KINTO」では、月あたり1,500キロという走行距離の制限があります。
上限を超えると、超過料金(1キロ当たり11円)が発生します。
通勤や、通学などで走行距離が多いという方は注意が必要です。
デメリット④ 車をカスタマイズしにくい
車のホイールやナビゲーション、電飾系などを変更したいという場合は、自分で行う必要があり、返却時には元に戻す必要があります。
新車や中古車購入時のように、販売店で好みの仕様にしてもらうことはできません。
また、ディーラーオプションの選択範囲も制限があり、全てのオプションを付帯できるわけではありません。
車を自分好みに改造したという方には不向きなサービスです。
デメリット⑤ 利用できる車種が限られる
「KINTO」で利用できる車種は25車種(2024年8月現在)であり、トヨタやスバルの全車種から選べるわけではありません。
また、トヨタ以外の他メーカーの車種は選べません。
全ての新車メーカーから選べるカーリースとは異なり、車種が限定されます。
ただ、「KINTO」の対象車種は、サービス開始当初の6車種から大きく拡大してきており、今後も拡大される可能性があります。
免許返納、海外転勤の場合は違約金ナシ(3年契約のみ)
「KINTO」では、事情があって免許返納をしたとか海外転勤となった場合には、違約金がかかりません。
ただし、3年契約の場合のみに適用されることと、契約開始から6カ月以内の場合は通常通り違約金が発生します。
任意保険に入っている場合は「中断手続き」がおすすめ
「KINTO」の利用料には任意保険料が含まれているため、今乗っている車でかけている任意保険は解約する必要があります。
その際に、任意保険の「中断手続き」を取っておけば、再度任意保険を契約する際に今の保険等級を引き継ぐことができます。(最長10年間)
「中断手続き」は申請の書面を加入している保険会社に提出するのみで簡単にできます。
手続きにかかる費用や中断期間の保険料はかかりません。
長く任意保険に加入しており、保険等級が進んでいる方には特におすすめします。
新型プリウス対象のKINTOアンリミテッドサービス開始
2023年1月にフルモデルチェンジをした新型プリウス(グレード「U」)を対象とし、KINTOアンリミテッドという新しいサービスを開始しています。
KINTOアンリミテッドでは、KINTOの基本サービスに加えて、「ソフト・ハードウェアの適時アップデート」「コネクティッド技術でのサポート」の提供により、残存価格を高めることで、利用料を抑えています。
新型プリウス(グレード「U」)の利用料は月4万円台(ボーナス払い無し)となっており、従来のプリウスの利用料より約10%値下げされています。
KINTOアンリミテッドについて詳しくは下記記事にまとめていますので興味がある方は参考にしてみてください。
中古車版「KINTO」の展開も本格的に開始
トヨタの中古車を利用した中古車版「KINTO」は以前より試験的に開始されていましたが、2022年7月から本格的に開始しました。
「KINTO」の3年契約で終了した車両を主に利用し、利用料を抑える戦略です。
ただし、現時点では利用料が高めなことに加え、月額6カ月分の申込金が発生するため、コストメリットは薄いです。
中古車版「KINTO」については、下記記事にまとめていますので参考にしてみてください。
今乗っている車を高く売るには複数買取店を比較する
「KINTO」を利用するために今乗っている車を売却する場合は、トヨタのT-UPでの買取もできますが、少しでも高く売るには複数の買取店を比較したほうが良いです。
近年では高く買い取る確率が高いのは「ネクステージ」です。
理由は、自社販売が非常に好調であり、在庫確保のために買取を強化しているるからです。
年式が新しいとか、走行距離が少ないという再販向きの車は特に高く買い取ります。
一方、販売店向きでない低年式や走行距離が多い車は積極的に値段を提示してこないため、その場合は「ユーポス」や「ラビット」を含めて比較したほうが良いです。
複数買取店に査定依頼する際は、下記リクルート社が運営するカーセンサーネットを利用すると、簡単に絞り込んで依頼することができます。
複数買取店を比較するのは面倒だし、営業電話を受けたくないという場合は、近年利用者が増えてきている「オークション方式の買取サービス」という売り方があります。
「オークション方式の買取サービス」とは、ユーザーの車に興味がある買取店が、ネット上のオークションで競り合うことで、高く売れるという買取サービスです。
1度査定を受けた後は、オークションの開催を待つのみで買取店との交渉が不要です。
個人情報が複数買取店に流れないというメリットもあります。
「オークション方式の買取サービス」を展開する「ユーカーパック」は全国の提携買取店最大8,000社から入札を受けることができ、ハマれば驚くほど高く売れるという評判があります。
次に販売しやすい人気車種や状態の良い車は特に高く売れる可能性があります。
出品者が設定する最低落札価格まで入札が入らず、売買が成立しないという場合もありますが、査定料や成約料などの手数料は無料です。
査定は下記公式サイトから依頼できます。
ユーカーパックについて詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてみてください。
最後に
車業界では「カーシェアリング」や「カーリース」の利用件数が増加してきています。
「KINTO」はその流れに乗って徐々に利用者を増やし、直近では月1,500~2,000の申込を獲得しているとのことです。
サービスイン当初は契約期間3年プランのみでしたが、5年と7年のプランも追加され、より多くのニーズに対応できるようになってきています。利用できる車種も大幅に増えており、新型「クラウン」や新型「プリウス」の取り扱いも開始しています。
車両保険付きの任意保険料が利用料に含まれることで、若い方や保険料が高額な方には特にメリットがあり、検討する価値はあると思います。
残価設定ローンでの購入よりも支払額が少ないケースもあり、乗り換え等を検討している方は参考にしてみてください。
車種ごとの利用料などの詳細は下記公式サイトから確認できます。